2006年3月号掲載
マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール
Original Title :THE ZURICH AXIOMS
- 著者
- 出版社
- 発行日2005年12月26日
- 定価1,760円
- ページ数253ページ
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著者紹介
概要
人生を生きる賢明な方法は、リスクを回避することではなく、自らをあえてリスクにさらすことである ―― 。このように考えるスイス人は、より多くのお金を得るためにリスクをとって賭けをする。ただし、彼らには合理的にリスクをとるためのルールがある。それが“チューリッヒの公理”だ。世界の銀行家として名高いスイス人の、投機の知恵が明かされる。
要約
チューリッヒの公理
スイスは、地球上で最も鉱物資源に乏しい場所である。土地は荒れ、農業にも適さない。しかし、スイス人は世界で最も繁栄した人々である。
スイス人は、どうやって現在の地位を築いたのか? 世界で最も賢い投資家、投機家、ギャンブラーとして、それを手に入れたのだ。
人生はギャンブルである。多くの人はこの事実に不満であり、どうしたら賭けをしないで済むかを考えながら人生を過ごす。しかし、スイス人は反対の道を選ぶ。彼らは、真正面からリスクに向かい、それをどう管理するかを考える。
自らをリスクにさらし、大きな利益が期待できるような方法で賭けて、勝つ —— それを実現するのが「チューリッヒの公理」という法則であり、次のような12の公理から成る。
第1の公理:リスクについて
心配は病気ではなく健康の証である。もし心配なことがないなら、十分なリスクをとっていないということだ。
例えば、仏教のいくつかの宗派は、人は物欲を持つべきでなく、所有物を他人に分け与えるべきだと考える。その理屈は、持たなければ持たないほど、心配の種が少なくて済むということだ。
チューリッヒの公理の背後にある哲学は、この正反対にある。心配から解放されるのは、ある意味で良いことだ。しかし、有能なスイスの投機家なら誰もが、人生のゴールが心配から逃れることなら、貧困から抜け出せないと言うだろう。
人生は座していてはいけない、冒険すべきだ。冒険は、人生を生きる価値のあるものにする。そして冒険したいなら、自分をリスクにさらすことだ。第1の公理には、次の2つの副公理がある。
①いつも意味のある勝負に出ること
「失っても大丈夫な金額だけ賭けること」というのは、昔からの決まり文句だ。では、失うことができる金額とはいくらか? ほとんどの中産階級の人は、1〜数百ドルと考えるだろう。しかし、100ドルを賭けて、それが倍になったとしても、依然として貧しいままである。
投機するなら、傷つくことを厭わない気持ちでスタートしなければならない。少しでもいいから、“心配になるような金額”を賭けるのだ。
②分散投資の誘惑に負けないこと
分散されたポートフォリオを持つことは、資産形成の理論の中で最も崇拝されているものの1つである。だが、分散投資には重大な欠陥がある。