2006年12月号掲載
外資系コンサルの真実 マッキンゼーとボスコン
著者紹介
概要
「マッキンゼー」「ボストン・コンサルティング」などの外資系コンサルタント会社は、日本でもその活動範囲を拡大し、学生の就職先としても人気が高い。しかし、その実態はあまり知られていない。本書は、どのような人が、どのような仕事をしているのか、また、その問題点やクライアントとしてコンサルを依頼する際の注意点など、様々な視点からその実態に迫る!
要約
「コンサル至上主義」の時代
少子高齢化に伴う社会構造の変化や年金の財政問題…。こうした山積する課題に対し、政府は審議会や有識者会議などに、政策の骨格を議論してもらっている。
これらの会議には、従来、大学の先生やシンクタンクの研究者が主に呼ばれたものだった。
ところがここ数年、彼らに代わって、外資系コンサルティング会社のコンサルタントたちが中心的な役割を果たしている。
例えば、小泉内閣においては、「道路関係四公団民営化推進委員会」の川本裕子氏、「郵政民営化に関する有識者会議」の宇田左近氏など、マッキンゼーのコンサルタントが深く関与した。
また、企業向けのコンサル業務も近年、拡大している。金融機関や自動車メーカー、電話・通信会社など、日本を代表する企業も彼らの顧客だ。
このような「コンサル至上主義」とでもいうべき動きは、世界的な潮流である。
“コンサル先進国”の米国では、IBMのルイス・ガースナー氏、アメリカン・エキスプレスのハーベイ・ゴラブ氏など、マッキンゼー出身者が次々と有名企業の社長や幹部に就任し、活躍している。
日本でも、ダイエー、カネボウ、東ハトといった有名企業の会長や社長に、外資系コンサルティング会社のOBが就任している。
さらに、コンサルビジネスは、ファンド関連ビジネスとも密接なつながりがある。
再生ファンドを例にとると、このファンドは、経営不振の企業に資金を供与するだけでなく、企業の再生に向けた地道な努力を行っている。
ゴルフ場の再生市場についていえば、投資銀行のゴールドマン・サックスと、投資ファンドのローンスターという米国系の企業が2強で、彼らだけで日本のゴルフ場の約1割を保有している。