2007年6月号掲載
できる若者は3年で辞める! 伸びる会社はできる人よりネクストリーダーを育てる
著者紹介
概要
労働力が流動化し「入社3年以内で3割以上の社員が辞める」ようになった日本。そんな時代に企業は、どのような人事政策をとればよいのか ―― 。本書は、若者が3年で辞める社会背景を分析した上で、企業が行うべき新しい人事マネジメントを説く。さらには働く側の意識やリーダシップ論にまで言及し、社員研修用のテキストとしても使える内容となっている。
要約
企業の使命は、社員を自立させること
近年、労働者に質的変化が生じている。
厚生労働省が大卒者に行った調査によると、3年以内の退職者は平成14年度で34.7%、年々増加傾向にある。さらに高卒者では48.6%、中卒者に至っては約70%が3年以内に離職している。
一方で、派遣型の労働市場が広がり、働けども暮らしが楽にならない、いわゆる「Working Poor」が社会問題となっている。
このような環境下で、若者は「自分の身は、自分で守らねば」と思うようになり、資格取得や技術・経験に対して強い志向を示すようになった。
こうしたキャリア志向の強い学生が入社した場合、2つの問題が派生する。
1つは、「会社より自分が大切」と強く思うがゆえに、キャリアが積めないと思うや否や転職を決意してしまうこと。
もう1つは、「専門職志向」が強まり、それによって管理職を目指す若者が少なくなることだ。管理職になりたいと思わなければ、企業への忠誠心はなくなり、ますます企業離れを引き起こす。
企業は今、どうすれば社員の定着率を高められるのか、そして社員の志向に合った組織づくりとは何かということを真剣に考えるようになった。
多くの社員の志向は、基本的には安定志向である。キャリア志向とは、自分の身を守るための手段であり、その根本は安定志向にあるのだ。
こうした志向を的確にとらえた経営者は、終身雇用をベースとした「社員第一主義」を唱えるようになった。だが、これは現実的ではない。
現在、企業の寿命はますます短くなっている。であれば、終身雇用という制度自体に問題があるとお互いが認識し合い、企業も社員の「自立」を支援する方向で考えるべきである。