2007年6月号掲載

判断力

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著者紹介

概要

長い間、自分で判断する必要がなかった日本は、現在でも「判断停止」の状態を続けている。それというのも、無責任体制という構造が、社会のあらゆる部分に根を張っているからである。本書は、そうした日本独特の無責任体制の構造を明らかにすると同時に、私たち1人1人が身につけるべき判断力の養い方を教えてくれる。

要約

なぜ、判断を誤るのか?

 バブル経済崩壊後、十数年間も日本の混迷状態が続いている。にもかかわらず、誰もそこから脱出して向かうべき方向を示すことができない。

 政治家は、米国の言うままに従うしかないと思っている。それは判断を誤っているというより、「判断停止」── 何も判断していないのである。

 それだけに学者や評論家、ジャーナリストの判断が待たれるが、残念ながら、彼らに最も欠けているのが判断力だ。

 というのも、外国の学問や思想を輸入して加工するのが従来の学者の仕事で、評論家やジャーナリストもその点では同工異曲だったからだ。

 つまり、自分の判断力で物事を考え、現実の中から理論を作り出していくということができない。それは明治時代以来100年以上も続いていて、日本人の体質になってしまっている。

 日本が走るべき方向を見出すためには、自分で考え、自分で判断する以外にない。今、求められているのは、判断力である。

 まず問題は、洪水のように押し寄せてくる情報をどう判断するかということである。

 情報が多いほど、判断力のない人は情報に振り回され、マスコミの宣伝に乗せられてしまう。

 例えば1995年11月、新聞各紙は、大和銀行と住友銀行が合併すると報じた。

 当時、大和銀行のニューヨーク支店の行員が米国債の先物取引で1100億円もの損失を発生させたことが発覚し、大事件になっていた。

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