2019年9月号掲載
ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式
著者紹介
概要
社会構造の変化に伴い、個人も企業も新しい価値観への対応が求められている。例えば、従来、高く評価された「問題を解決できる人」は今後、その価値を失う。問題が少なくなった今日、評価されるのは「問題を発見し提案する人」だ。本書はこうした社会構造の変化を読み解き、新時代に必要な思考・行動様式を解説する。
要約
人材をアップデートするメガトレンド
望ましい人材要件。それは、その時代における社会の構造やテクノロジーによって規定される。
これまで高く評価されてきた、従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い「優秀な人材」は今後「オールドタイプ」として価値を失っていく。
一方、自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材=「ニュータイプ」が、今後は大きな価値を生み出し、評価されるだろう。
では、どんな変化が前者から後者へのシフトを促すのか? それは、次の6つのメガトレンドだ。
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- ①飽和するモノと枯渇する意味
- ②問題の希少化と正解のコモディティ化
- ③クソ仕事(意味のない仕事)の蔓延
- ④社会のVUCA化
- ⑤スケールメリットの消失
- ⑥寿命の伸長と事業の短命化
そのいくつかを、見ていこう。
飽和するモノと枯渇する意味
今の時代、ほぼあらゆるモノを手に入れられる一方で、多くの人は欠落感を抱えている。何かが満たされていない、本質的に重要なものが抜け落ちているような感覚だ。物質的な欠乏という課題がほぼ解消された世界で、人はいかにして「生きる意味」を見いだせばいいのか。
この問題を最初に指摘したのは、ドイツの哲学者、ニーチェである。ニーチェは、現代人が「意味の喪失」という問題に陥り、ニヒリズムに捉えられることを予言している。
彼は、ニヒリズムを次のように定義している。「何のために、という問いに対して答えられないこと」だと。つまり「意味が失われた状態」こそが、ニヒリズムの本質だという。
私たちは「モノが過剰で、意味が希少な時代」を生きている。このような時代にあって、相も変わらずに「役に立つモノ」を生産し続けようとするオールドタイプは価値を失う。その一方で、希少な「意味」を世界に対して与えるニュータイプは、大きな価値を生み出していくことになる。
社会の「VUCA」化
「VUCA」とは、V=Volatile(不安定)、U=Uncertain(不確実)、C=Complex(複雑)、A=Ambiguous(曖昧)という、今日の社会を特徴付ける4つの形容詞の頭文字を合わせた言葉だ。
社会における「VUCA化の進行」は、私たちがこれまで「良い」と考えてきた様々な能力やモノゴトの価値に大きな影響を与える。