2007年8月号掲載
中村天風・安岡正篤に学ぶ成功の法則
著者紹介
概要
実践哲学で知られる中村天風氏と、歴代首相の陰の指南役として知られる安岡正篤氏。この卓越した見識を持つ2人の先達の教えを紐解きつつ、「普遍的成功への道」を説いた1冊。両氏の教えに加え、本田宗一郎氏をはじめとする名経営者たちの具体的なエピソードも交えながら、本当の幸福、そして成功のためには何が必要なのかを考察する。
要約
本当の幸福とは何か
「人生を楽しませていただいてありがとう」
これは、ホンダの創業者、本田宗一郎さんの最期の言葉である。
人生はたった一度きりである。その一度限りの人生を、誰もが幸福でありたいと願うわけだが、彼の辞世からは「今を存分に生き、果敢に運命に挑戦し続けた男の満足感」が感じられる。
では、幸福な人生とは何か?
お金、地位、出世、名誉…。大方の人は、これらの条件がより多く備わることと考えるに違いない。が、果たしてそうか。仮にそれらを手に入れたとしても、その満足感はいつまで続くものか。
例えば、大富豪と呼ばれる人たちを見渡した場合、それほど幸福とはいえないのが実情である。
儲けた人間というのは、「いかに減らさないようにするか」を常に気にしながら生きている。そのため、精神的に安住できないのだ。
現に、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、50歳で巨万の富を築いた時、こう洩らしたという。
「このまま忙しく働いて、稼いだお金を使う暇もないまま死んでいくとは、何と寂しいことか…」
では、本当に幸福であるとはどういうことか。
中村天風先生は、こう言っている。