2007年8月号掲載

忍耐学

忍耐学 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

保身のための「敗者の忍耐」と、将来の飛躍に備えて力を蓄える「勝者の忍耐」 ―― 忍耐にはこの2種類があるという著者が、人生を成功へと導く勝者の忍耐について、中国古典の箴言・寓言を引用しつつ解説する。「自分の才能を誇るな」「口は災いの元」「控えめにふるまえ」等々、中国古典の名言の数々から生きる術を学ぶ、人生の実戦マニュアルである。

要約

「勝者の忍耐」とは?

 忍耐には、「敗者の忍耐」と「勝者の忍耐」の2つがある。前者は、劣勢において保身のためにひたすら耐え続けること、後者は、来るべき反撃に備えて力を溜めることである。

 この忍耐について説く「忍耐学」は、中国古典の根本を司るものだ。中国の歴史上、戦乱の世に名を成した英雄たちは皆、忍耐学を深く理解し、活用した。忍耐学は悠久の歴史により培われた“人生の実戦マニュアル”であり、奥義なのである。

 では、勝者の忍耐とは具体的にどういうことを言うのか ——

敢えて天下の先と為らず 『老子』

 これは老子が自らを戒めたもので、「自分の才能を誇るな」という意味である。

 だが、謙虚でいるのは忍耐力がいる。人間には、他人から認められたいという欲求があるからだ。10の能力は15に評価されたいのが人間であり、それをあえて8に抑えようとするには、強い意志と忍耐力が不可欠である。

 周知の通り、米国人の価値観は“自己主張”である。日本の戦後教育は、この米国流価値観を叩き込んだ。「これからの時代は、米国人のように自分の意見をはっきりと主張し、能力を売り込み、相手に認めさせなければだめなんだ」と。

 10の力を12にも15にも見せるのもまた、能力の1つ、というわけだ。それは、すなわち“能力の金メッキ”である。剥げることはあっても、本物の金になることはあり得ない。

 これに対し、金は黙っていても金である。10の力を8に見せておけば、後で10であると世間が知った時、評価は何倍にもなる。

人の己を知らざるを患えず、人を知らざるを患う 『論語』

 自分のことを認めてくれていない —— これが不平不満の根源である。だから、「何で部長はオレを正当に評価してくれないんだ!」と、会社帰りの居酒屋で悪酔いしたりする。

 つまり、「自分は悪くない。全て相手が悪い」とする考え方だが、それに対し「そんなことでは人生、不平不満のまま終わってしまうぞ」と諭したのが、冒頭の孔子の教えである。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

中国古典の名言・名句三百選

守屋 洋 プレジデント社

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙

G・キングスレイ・ウォード 新潮社(新潮文庫)

それでも人生にイエスと言う

V・E・フランクル 春秋社

ハーバードの人生を変える授業

タル・ベン・シャハー 大和書房(だいわ文庫)