2007年11月号掲載
スターバックス成功物語
Original Title :POUR YOUR HEART INTO IT
著者紹介
概要
今や誰もが知る世界的な企業、スターバックスの会長ハワード・シュルツ氏が、起業家としての自らの人生を振り返りながら、同社の成長の歩みを語った1冊。コーヒーの品質に対する徹底したこだわり、社員本位の経営、情熱と真心で結ばれた社員や顧客との絆…。その成功の基盤となっている、同社ならではの経営哲学や価値観が、興味深いエピソードとともに披露されている。
要約
新しいコーヒー文化を目指して
1982年、私は勤めていた一流会社を辞め、その将来性に惹かれて、シアトルの小さなコーヒー小売会社スターバックスに転職した。
そして87年、CEOに就任。以降、経験豊富な経営陣とともに、スターバックスを地方企業から、全国規模の大企業に育て上げた。
その成功の背景にあるものとは、何か ―― 。
会社の価値観を植え付ける
子供が生まれたばかりの親に、子供の将来のためにどんな価値観を教えたらいいのか、などと考える余裕はない。差し当たってどうするかを考えるだけで精一杯だ。
起業家も同様、発足当初は目前の問題を処理することに追われ、会社の価値観について考える余裕はない。
しかし、いったん子供や社員が間違った価値観を吸収してしまったら、それを変えるのは容易ではない。
社内文化を変えるのは不可能ではないが、極めて困難である。だから起業家は、会社の発足当初から、価値観や理念を組織に浸透させねばならない。それが、会社の方針や経営戦略を決める基盤になる。正しい社内文化を確立しなければ、成功はおぼつかない。
会社の草創期に、いかなる価値観を植え付けるかという問題を決して軽んじてはならない。
そして、パートナーと組む時も社員を採用する時も、あなたと同じ情熱、意欲、目標を持つ人物を選ぶことが必要だ。そういう人たちと一緒に目標を追求すれば、大きな力を発揮できる。
「第3の場所」を提供する
スターバックスは、全く趣の異なる様々な町で成功した。では、様々に異なる町々で、なぜスターバックスは人々の心を捉えているのか?
最初は、コーヒーこそがその答えだと単純に考えていた。しかし、そのうちに、我々の店には独特の雰囲気があり、それが魅力的な効果を発揮していることがわかってきた。