2008年1月号掲載
ユダヤの訓え 「大物」になる勉強法
著者紹介
概要
アインシュタイン、フロイトからファンドの皇帝ジョージ・ソロスまで、ユダヤ人の成功者を挙げればきりがない。なぜ彼らはこうも優秀なのか? その秘密は、子供の教育法や休日の過ごし方をはじめ、生活の細部にまで及ぶユダヤ教の訓えにある。度重なる迫害を受け、国を失いながらも守り続けた「5000年の叡智」。日本人にとっても、そこから学ぶべきことは多い。
要約
世界最高の成功者集団
全世界に1300万人いるとされているユダヤ人。その割合は世界人口の0.2%にすぎないが、彼らは有史以来、数多くの創造的な人材を生み出し、世界の歴史を動かしてきた。
例えばノーベル賞一つとっても、1901年から2006年の受賞者の23%がユダヤ人である。また、米国のユダヤ人は人口の2%にすぎないのに、富豪の上位400家族のうちの23%を占めている。
なぜ、この民族はこれほど多くの成功者や天才を輩出できたのか? そのカギは、思想にある。
世界各地に散らばったユダヤ民族は、ユダヤ教を信じ、それが精神的な拠り所となっている。
教義によればユダヤ教は、ユダヤ民族が「選民」として神と契約を交わしたことから始まる。
その契約とは、神からカナン(パレスチナ)を与えられる代わりに、人間としてより完成された存在となることで栄光を帰す、というものだった。
例えば、そのための方法としてユダヤ教の教えには、「腰をかがめなければ、真理を拾うことはできない」という言葉がある。これは、人は謙虚でなければ学ぶことはできないという意味だ。
この他、ユダヤ教の教えは人のあらゆる営みに及ぶ。ユダヤ人はその教えを守ることで、神の望む「完成された存在」に近づこうとしたのである。
古代世界でユダヤ人を取り巻いていたエジプトやバビロニアなどの強大な帝国は、皆滅びるか衰退した。だがユダヤ民族は、後に大きな影響力を世界に及ぼすこととなる。
これは思想の勝利といってよい。思想によって治められた国は、たとえ国がなくなってもその精神性が存続する。ユダヤ人は精神的な崇高さを充実させることで、現在まで発展しているのである。