2008年5月号掲載
老子・荘子の言葉100選 心がほっとするヒント
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年3月10日
- 定価586円
- ページ数222ページ
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著者紹介
概要
『老子』は、全文5400字ほどの短い書である。凝縮した言葉で、とかく世間の価値観に振り回されがちな人々の生き方を戒め、人間本来の自然な生き方をしようと説く。そして、非常に難解な同書の思想を、たとえ話などで、わかりやすく面白く説いたのが『荘子』だ。本書は、この2つの思想書から各々50の言葉を選び出し、現代人の悩みに即した解説を加えて紹介する。
要約
『老子』の言葉
老子は、生涯「無名」であることを旨とし、世に出ることなく、自由人としてこの世を送った。老子にとり、立身出世や名誉のために汗水たらして努力することなど、全く無意味なことであった。
常に大自然の生命にわが身を委ねて、世俗の価値を飛び越え、自由に、心豊かに生きよう —— 。そんな彼の主張が、『老子』には詰まっている。
道の道とすべきは常の道にあらず
人間が学ぶべき理想的な生き方(道)は、皆が「いい生き方」だと言っている生き方ではない。
世の中の人は、成長と拡大を目標として、弱肉強食の競争を繰り返し、勝ち組として生き残るのが、一番「いい生き方」だと思っている。
だが、愛を忘れ、目標達成のために走り続ける生き方が、真底から人間に生きがいを与えてくれるのだろうか。人が求めるべき最高の功績は、名誉や地位や財産では決してない。
人間が人間として生まれ、生きられるのは自然の力があってこそ。ならば、もう少し自然に逆らわない生き方を学んでいくことが大切だろう。
上善は水のごとし
最上の「いい」ことというのは、たとえてみると、水のようなものである。
水は、丸い器に入ると、丸くなる。どんな形の器にも逆らわない。柔軟であり、謙虚である。
そして水は、色々なものに利沢(利益と恩沢)を与えている。この自然の中で、水なくして生きているものは、1つもない。それほど偉大な存在でありながら、水は、決して誇ることをしない。
世の人は、誰もが1つでも高い地位を欲しがる。水はその反対に低い所へ、低い所へと流れていく。
だが、次々支流を抱えて大きくなっていく。しかも、最後は海に流れて、偉大な存在となる。