2008年5月号掲載

老子・荘子の言葉100選 心がほっとするヒント

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著者紹介

概要

『老子』は、全文5400字ほどの短い書である。凝縮した言葉で、とかく世間の価値観に振り回されがちな人々の生き方を戒め、人間本来の自然な生き方をしようと説く。そして、非常に難解な同書の思想を、たとえ話などで、わかりやすく面白く説いたのが『荘子』だ。本書は、この2つの思想書から各々50の言葉を選び出し、現代人の悩みに即した解説を加えて紹介する。

要約

『老子』の言葉

 老子は、生涯「無名」であることを旨とし、世に出ることなく、自由人としてこの世を送った。老子にとり、立身出世や名誉のために汗水たらして努力することなど、全く無意味なことであった。

 常に大自然の生命にわが身を委ねて、世俗の価値を飛び越え、自由に、心豊かに生きよう —— 。そんな彼の主張が、『老子』には詰まっている。

道の道とすべきは常の道にあらず

 人間が学ぶべき理想的な生き方(道)は、皆が「いい生き方」だと言っている生き方ではない。

 世の中の人は、成長と拡大を目標として、弱肉強食の競争を繰り返し、勝ち組として生き残るのが、一番「いい生き方」だと思っている。

 だが、愛を忘れ、目標達成のために走り続ける生き方が、真底から人間に生きがいを与えてくれるのだろうか。人が求めるべき最高の功績は、名誉や地位や財産では決してない。

 人間が人間として生まれ、生きられるのは自然の力があってこそ。ならば、もう少し自然に逆らわない生き方を学んでいくことが大切だろう。

上善は水のごとし

 最上の「いい」ことというのは、たとえてみると、水のようなものである。

 水は、丸い器に入ると、丸くなる。どんな形の器にも逆らわない。柔軟であり、謙虚である。

 世の人は、誰もが1つでも高い地位を欲しがる。水はその反対に低い所へ、低い所へと流れていく。

 だが、次々支流を抱えて大きくなっていく。しかも、最後は海に流れて、偉大な存在となる。

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