2008年2月号掲載
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
著者紹介
概要
検索エンジン等で瞬時に情報を得られる今日、単に知識を有することに優位性はない。知識を活用して自分で考え、問題を解決する力、「地頭力」こそが意味を持つ。本書では、その地頭力を6つの構成要素に分解し、各要素を効率よく鍛える方法を体系的に解説。日々トレーニングを続ければ、地頭力が向上し、あらゆる場面で実績を上げられるようになるだろう。
要約
「地頭力」とは?
「地頭」とは、コンサルティング業界で比較的頻繁に使われる言葉で、考える力のベースとなる知的能力のことである。
例えば、人材採用の場面で「地頭のいい人を採りたい」などという表現をするが、この「地頭のよさ」は、世に言う「頭のよさ」とは違う。
いわゆる頭がいい人は、次の3つに大別できる。
- ・記憶力がよく何でも知っている「物知り」の人
- ・人の気持ちを瞬時に察知して行動できる、「機転が利く」「気が回る」タイプの人
- ・数学の問題やパズルを解くのが得意な「考える力」の強いタイプの人
このうち、最後の「考える力」の強いタイプが、「地頭がいい」タイプである。
3つの能力はいずれもビジネスや日常生活に不可欠な知的能力だが、特に「地頭力」は、未知の領域で問題を解決する能力という点で、環境の変化が激しく、過去の経験が未来の成功を保証するとは限らない現在において重要な能力といえる。
地頭力がコンサルティング会社等の人材採用の基準の1つになっている最大の理由は、地頭のいい人はどの分野に取り組んでも業務知識の習得が速く、高いパフォーマンスが期待できるからである。
そして、地頭力は陳腐化しない。逆にいえば、地頭力というのは昔から変わらない能力なのだ。
フェルミ推定で地頭力を鍛える
では、地頭力を鍛えるにはどうすればよいのか。
そのための強力なツールとして、「フェルミ推定」と呼ばれるものがある。
これは「世界中にサッカーボールはいくつあるか?」など、把握することが難しく、ある意味荒唐無稽とも思える数量について、何らかの推定ロジックによって短時間で概数を求める方法である。