2008年5月号掲載
イノベーション思考法
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年3月28日
- 定価792円
- ページ数229ページ
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著者紹介
概要
インターネットの普及によってあらゆる情報が世界中を飛び交い、人やモノの交流がどんどん進んでいる。そんなグローバルな世界で真に重要になるのは、画期的なアイデアや技術を生み出し、社会を変えるような「イノベーション」である。本書は、それを起こす上で何が必要かを説くもの。新しい価値を生むためには頭をどう使えばよいか、多くの示唆を与えてくれる。
要約
グローバル時代に何が起きているか
冷戦構造の終焉、そしてインターネットの普及によりグローバリゼーションが進んだ。
その結果、今、世界中で「イノベーション」が重要なキーワードとなっている —— 。
後戻りできないフラット化が始まっている
20世紀に入って急速に発展した科学技術は、産業や社会の構造、生活のあり方を大きく変えた。インターネットに代表される通信技術の革新はヒト、モノ、カネのめまぐるしい交流を促し、あらゆる情報が世界の至るところで共有化されている。
好もうが好むまいが、この変化にはもはや後戻りはきかない。トマス・フリードマンの言う「フラットな世界」、つまり個々の人間力が生み出すローカルな価値が、ネットやメールを通じてグローバルに展開する状況が、もはや否定することのできない人類共通の前提になったと言っていい。
イノベーションは、経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提唱した経済学の原理の1つである。
企業や社会は、成長、成熟するにつれて保守的になる。これを中から壊していこうとする人たちが出てこない限り、いつか朽ち果てる。
従って、組織が健康的に継続するためには「創造的な破壊」が欠かせない。これが、彼の言うイノベーション・セオリーの基本的な考えだ。
つまり、イノベーションの本質は、過去の成功体験と既存権益を守ろうとする内部の抵抗をはねのけ、組織や社会の持続のために必要な変革を、積極果敢に成し遂げることにある。
新しいアイデアを見つけて終わりにするのではなく、それを社会に広め、新しい経済成長を呼び起こし、結果として社会全体を変えない限り、イノベーションとは呼べないのである。
我々は技術革新を事前に知ることはできないが、革新的なアイデアが出現した時、そのアイデアをどう利用し、発展させていけばよいかという対応力や柔軟性に関しては、普段から心して身につけておくことはできるはずである。
今までの日本は、この対応能力と柔軟性に関する備えが万全ではなかった。だが、今のような劇的な変化の時代にあって、それではいけない。急ぎ、対処する必要がある。