2008年9月号掲載
俺様社員をどうマネジメントするか “自分はできる”と思い込んでいる若手を育てる3つの方法
著者紹介
概要
会社組織とは、何らかの成果を出して初めて認められる場所である。愚直に努力を重ね、競争に勝ってこそ、会社での自分の存在価値が高まる。しかし、最近の若手社員には、これがなかなかわからない。根拠のないプライドばかりが先行し、実際には何もできない若手が多い。本書は、そんな若者を指導する立場にあるリーダーのための指南書である。
要約
「俺様社員」の問題点
優秀な社員、つまり「本当のできる人」は、極端な話、何もしなくても育つ。自分を客観視でき、自発性もあり、意識も高いからだ。
問題は、自分のことを「できる人」だと思い込んでいる「俺様社員」である。
1000人以上の若手社員(20代~30代半ば)にインタビューをしたところ、全体の70~80%が、次の3タイプに分類されることがわかった。
- ①自分のことは棚に上げて、上司や会社に対する不満を延々と話し続ける人
- ②自分が今後どんなキャリアを積んでいきたいかなど、本人のビジョンが明確になっていない人
- ③自分を客観視できず、自己認識が乏しい。なのに、自分以外のことは詳細に観察し、悟りきったような理屈や批判を述べる評論家タイプ
2003年に発表されたSMAPの「世界に一つだけの花」は大ヒット曲になった。この曲の中に、「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」という歌詞がある。
競争で人を蹴落として一番になるよりも、各々が持つ個性を認め尊重しようということだ。
最近の若手社員に多い俺様社員は、少子化の影響とゆとり教育で大事に育てられてきたせいもあり、オンリーワン信仰が強く、彼らは自分たちの存在価値はこの歌詞によって強化されたと勘違いしているようだ。
この曲が発売された当時、大学生だった人たちが、今ちょうど入社5年目以内になる。この「オンリーワン世代」は、何の根拠も裏づけもない自信で満たされていたり、評論家気取りで悟りきっている人の比率が、他の世代に比べて高い。
また、自分を極端に過大評価する一方で、他人に対するリスペクトが足りない人の比率も高い。
リスペクトには、2つの側面がある。
- ①上司や先輩など、目上の人に対する尊敬の念
- ②基本を尊重し大切にする心
この2つのリスペクトを持つことは、あらゆる分野で成功する要素になる。
そして、このリスペクトは親の躾の問題である。その意味で、家庭や学校で躾をされなかった社員は、教育の前に躾が必要になる。