2013年11月号掲載
部下を育てる リーダーのレトリック
著者紹介
概要
著者は、早稲田大学ラグビー蹴球部監督として、2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇した中竹竜二氏。監督時代、どうすれば1人1人の選手がより成長できるのか考え、それを心に届く言葉にして伝えることで、選手が育ち、チームを優勝に導けたという。そんな氏が、部下を成長させ、高い成果を上げる組織を作るための「レトリック」の数々を披露する。
要約
レトリックはリーダーの必修科目
リーダーが口にする「言葉」は重要である。言葉によって、人や組織を成長に導くことができる。
その際に大切なのが「レトリック」だ。
レトリックとは、古代ギリシアに始まった効果的な言語表現の技術で、日本では修辞学という。歴史を振り返れば、人を動かす皇帝、武将などが学ぶ教養科目の1つで、必須のスキルだった。
だが、近代には衰退する。ビジネスの現場では特に「雄弁は銀、沈黙は金」「背中を見て学べ」というように、語ることを軽視する傾向にある。
しかし、それでいいのだろうか。むしろ、今やレトリックはリーダーの必修科目だと思う。
企業では、部下の意欲を高め、成長させるために、多くの上司が日々努力を続けている。しかし、その努力は部下に伝わっていない可能性がある。
日本の企業は「暗黙知」を信頼しすぎる。「背中を見て学べ」はその最たるものだ。言わなくてもわかるというのは幻想にすぎず、同じ組織の人の価値観も1つではなくなっている。
そうしたチームを束ね、部下を成長に導くために、きちんと伝わる言葉を駆使しないといけない。
具体的には、部下に何を伝えたいのか、メッセージを整理する。その上で、どんな言葉で言われるとより納得できるのか、相手の立場で考え抜く。
そうやって初めて、部下に伝えたいメッセージが「適切な言葉」になる。これが部下を成長させ、高い成果を上げる組織を作るレトリックの基本だ。
苦手なことはやらなくていい
例えば、なかなか部下が成長しない時、上司は新たな気づきを与える言葉をかけるべきだ。