2008年11月号掲載
成功は洗濯機の中に P&G トヨタより強い会社が日本の消費者に学んだこと
著者紹介
概要
2000年にP&GのCEOに就任したアラン・ラフリーは、業績の悪化に苦しんでいた同社の経営を改革し、V字回復させることに成功した。本業である家庭用品の収益構造を劇的に改善することにより、7年間で純利益を3倍にしたのだ。本書では、この“ラフリー大改革”のプロセスを追いつつ、超優良企業P&Gが実践する“勝つ仕組み”の全貌を明らかにする。
要約
「消費者中心経営」宣言
洗剤や紙おむつなど、身近で安価な生活用品を作るプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)。
同社は、過去7年間で売上高を倍増させて765億ドルまで伸ばしながらも、営業利益率は20%と飛び抜けて高い。
だが、この超優良企業も2000年初頭には破裂寸前だった。発売する新製品は失敗続きで、社員のモラールも低下、社内は混乱をきたしていた。
そんな中、53歳のアラン・ラフリーがCEO兼社長に就任。彼によって、同社はV字型の業績回復を遂げた。
では、彼が行った改革 ――「ラフリー改革」とはどのようなものだったのか?
「消費者がボス」
まず、P&Gは「消費者を満足させる商品を育てて、継続的に売上と利益を伸ばす」という基本原則へ立ち返った。それが、「消費者がボス」という経営思想だ。
消費者を深く理解し、そこから得られた知識を生かすことで、消費者にこれまでなかったような新しい価値を提供することを目指すのである。
この消費者中心経営は、「消費者に決めてもらう経営」と解釈されることが多い。
だが、P&Gはそう考えない。消費者自身も、何が欲しいのかわからないからである。
同社では、消費者と対話し、その反応を見ながら商品開発を進める。つまり、消費者に決めてもらうのではなく、リードしてもらう形で消費者の嗜好を取り入れている。
消費者の心と対話できるプロ集団
P&Gの顧客の8割は女性消費者である。