2008年11月号掲載
イノベーションへの解 実践編 イノベーターの確たる成長に向けて
Original Title :The Innovator's Guide to Growth:Putting Disruptive Innovation to Work
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年9月18日
- 定価2,200円
- ページ数405ページ
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著者紹介
概要
企業のイノベーションに関する落とし穴を指摘し、世界的ベストセラーとなった名著『イノベーションのジレンマ』。そこで指摘されたのが、業界の常識を打ち破るような「破壊的イノベーション」の重要性だ。では、それを生み出すためには、具体的にどのようにすればよいのか? 本書では、任天堂のWiiなどの最新事例を挙げながら、その実践方法を提示する。
要約
「非消費者」の識別
自社の最良の顧客の声に集中する企業は、新しい成長事業の機会を逸してしまうことが多い。
顧客の声を聞くことは重要だ。しかし、最良の顧客の声だけに集中する企業は、主流の顧客にとって過剰に優れた製品やサービスを提供してしまう結果になりがちである。
このような「過剰満足」状態は、単純で、安価なビジネスモデルで武装した「破壊的イノベーター」に絶好の機会を提供してしまう。
多くの業界において、このようなパターンの結果、市場リーダーが破壊的イノベーションによる成長の機会を逸するという結果になっている。
では、自社が破壊的イノベーションによる市場創造を実現するにはどうすればよいのか?
それには、まず今の消費者ではなく、何らかの理由で消費を行えない顧客について考えねばならない。つまり「非消費」に注目するのである。
「非消費」とは?
非消費とは、消費の不在を意味する。つまり、何らかの障害によって消費が妨げられている人(非消費者)、あるいは消費できない状況を指す。
ほとんどの場合、企業がこの非消費者に注目すると、自社の潜在的市場ははるかに大きくなる。
また、市場が飽和したかのように見えている場合でも、非消費者を識別することで新しい成長機会を発見できることがある。
例えば、米国では世帯の90%以上がケーブルテレビに加入している。この場合、ケーブルテレビの市場は飽和しているように思える。
だが、「視聴者がテレビの前に座っていない時、番組を見る機会はどれくらいあるか」と考えてみると、市場は一気に広がる。