2008年12月号掲載
強欲資本主義 ウォール街の自爆
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年10月20日
- 定価781円
- ページ数206ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
サブプライム問題を発端にした金融危機により、その栄華に終止符が打たれたウォール街。失敗の原因は、そこにはびこる「強欲資本主義」にある ―― 。前著『さらば、強欲資本主義』(亜紀書房)で、ただ利益だけを追い求める強欲資本主義を批判した著者が、欲にまみれたウォール街の実態を暴く。そして、大不況に向かいつつある世界経済に対し、処方箋を提示する。
要約
宴の終わりの始まり
1990年代初頭から20年近くの経済の低迷で、日本人ビジネスマンは、自分たちがそれまで維持してきた価値観に自信を失った。
そんな時に小泉・竹中政権が誕生し、「グローバル・スタンダード」という美名の下、米国経済をお手本として「日本も金融立国しよう」というスローガンが喧伝された。
多くのビジネスマンはその気になった。米国のビジネス・スクールに学んでMBAを取得し、外資系金融機関に就職することこそ、成功への近道であるかのような風潮が広がっていった。
その結果、「六本木ヒルズ族」に象徴されるように、ウォール街の真似をし、拝金主義的な空気が日本でも蔓延し始めた。
だが日本人は、米国経済やウォール街の本質を全く理解していなかった。ウォール街では、「強欲資本主義」がはびこり、本質的な経済の疲弊が始まっていたのである。
ウォール街にいると、人間の強欲さが手に負えないところまで来ていると痛感する。
そもそも金融というものは、実業を営む人たちの脇役に徹するべきであり、企業の事業構築を助けるのが金融本来の仕事のあり方だ。
ところが、ウォール街の現状は全く違う。
例えば近年、プライベート・エクイティー投資(ファンドによる企業の経営権を握る投資)が巨大化した。2007年夏頃には、企業買収の実に3分の1がこれらファンドの手によるものとなった。
つまり、金融資本が主役となり、本来主役であるはずの企業を支配してしまったのである。
そして金融資本は、買収した企業から利益を搾り取れるだけ搾り取る。彼らは事業を行うために投資するのではない。「安く買って高く売って儲けること」こそが、彼らの最終目的なのである。