2020年12月号掲載
経済危機はいつまで続くか コロナ・ショックに揺れる世界と日本
- 著者
- 出版社
- 発行日2020年10月15日
- 定価968円
- ページ数221ページ
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著者紹介
概要
コロナ・ショックは人と物の動きを止め、リーマン・ショック以上の危機を世界にもたらした。今後、世界、日本の経済はどうなるのか? コロナは抑えたものの、過剰債務を抱える中国は、企業倒産が増えかねない。感染被害の対策を巡り足並みが乱れたEUは、崩壊のリスクが高まる…。事例やデータを基に、先を見通す。
要約
アメリカファーストのゆくえ
経済は、基本的にヒトとモノとカネで動く。
2008年のリーマン・ショックの時は、カネの部分がダメージを受けた。ただし、カネの流れが止まった場合は、その流れをよくすればいい。アメリカは経済政策を行い、何とか景気を回復させた。
だが、新型コロナウイルスは、より厄介だ。感染症によるパンデミックになったため、カネではなく、ヒトとモノが動かなくなったからだ。
今後、日本と世界の経済は、どのような方向に進んでいくのだろうか ―― 。
コロナ・ショックに揺れるアメリカ
今回のコロナ・ショックによって、アメリカ経済はどのような影響を受けているのか。
一言でいうと、「戦争級の衝撃」である。
経済は、主に金融経済と実物経済とに分けて考えるが、金融経済については、100年に一度の危機といわれたリーマン級の影響が出た。
例えば、VIX(Volatility Index)指数。別名、恐怖指数といい、市場関係者がどれだけ市場に恐怖を抱いているかを示す。リーマン・ショック後はこの指数は60を少し超えたところだったが、今回はそれを超えている。
それ以上に凄まじいのが、実物経済である。毎週発表されるアメリカの新規失業保険申請件数はリーマン・ショック後の65万件がこれまでのピークだった。だが、今回は650万件以上。リーマン・ショックの時の10倍にも膨らんだわけだ。
金融引き締めは当面できない
こうした局面では、コロナ・ショックの克服を最優先して、金融緩和も財政出動もできることはやり、とりあえず経済を立て直す。それが重要だ。
となると、金融引き締めをする環境になることは当面ない。そもそも、構造的に金融引き締めの必要性が下がってきている。物価や賃金が上がりにくい構造になってきているのだ。