2009年4月号掲載
ビジネス・インテリジェンス 未来を予想するシナリオ分析の技法
著者紹介
概要
「インテリジェンス」とは、情報を収集・分析して得られる“知識”のこと。これをビジネスに適用したのがビジネス・インテリジェンスで、その中でも、最も洗練された手法とされるのが「CI(競合インテリジェンス)」だ。CIAのOBがビジネスの世界に持ち込んだもので、企業の判断・行動に役立てられている。本書は、このCIの概要、そして活用法を詳述する。
要約
「CI」とは何か?
「インテリジェンス」とは何だろう。
知能、あるいはスパイや盗聴といったイメージが思い浮かんだりもするが、ここで述べるのは「知識」としてのインテリジェンスである。
それは、インフォメーション(情報)を収集し、それを分析して生産されるもので、我々が判断・行動するために必要な知識だ。
このインテリジェンスをビジネスの世界に適用したものに、「CI(シー・アイ)(Competitive Intelligence:競合インテリジェンス)」がある。
これは、「インフォメーションを体系化して現れる知識で、企業の判断を可能とするもの」と定義される。例えば、自社に影響を与える合併、他企業の新規参入、市場が急成長する可能性などに関する知識がそうだ。
このCIがビジネスの世界に持ち込まれた経緯を振り返ると、次の通りである。
1970年代初め、モトローラ社のロバート・ガルバンは、「アメリカ大統領対外インテリジェンス諮問委員会」の委員を務めていた。
彼がそこで目の当たりにしたのが、インテリジェンスだ。CIA(米中央情報局)など政府インテリジェンス組織のプロがインフォメーションを収集、分析してインテリジェンスを作り、未来を予想することで政策の立案・執行に役立てていた。
企業も同じことをすべきだ! そう考えたガルバンは、80年代になって、社内でインテリジェンス部門を立ち上げるべきだと主張する。
彼のアイデアは採用され、インテリジェンス部門が立ち上がった。そして85年、それを率いるべくCIAからジャン・へリングがやって来た。
こうしてビジネスの世界にインテリジェンスの考えが持ち込まれたが、当初、マネジメントはインテリジェンスが何かを理解できず、「とにかく集めて来い」という態度をとったという。