2009年5月号掲載

グリーン革命(上・下) 温暖化、フラット化、人口過密化する世界

Original Title :Hot,Flat,and Crowded:Why We Need A Green Revolution-And How It Can Renew America

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著者紹介

概要

かつて産業革命で世の中が一変したように、今後、「グリーン革命」で世界は激変する ―― 。『フラット化する世界』の著者が、フラット化の先を描いた。原油価格の高騰、新興国の経済発展に伴う温暖化の進行、人口の急増等々、世界は不安定の度を増しつつある。そんな今こそ再生可能エネルギーへ転換すべきだとし、その具体策と現状、あるべき未来の姿を説く。

要約

地球が抱える難問

 国連の発表によれば、世界の人口は2050年には、現在の67億人から92億人になるという。

 この人口増大の規模があまりにも大きいため、マイケル・V・ヘイデンCIA長官は、世界の最も憂慮すべき潮流はテロリズムではなく人口過密化だと語っている。なぜなら、この増加の大部分は、それを維持できないような国で起こるからだ。

 アフガニスタン、リベリアなどでは21世紀半ばに人口が3倍になると予想されている。これらの国では若い世代が多くなるが、「若者たちは食料や教育、雇用が満たされなかった時、暴力、過激主義に走る傾向が強くなる」と長官は言う。

 世界では今、この「人口過密化」および「フラット化(ミドルクラスの急激な勃興)」「地球温暖化」の3つが重なって進みつつあり、その結果、次のような問題が生じている。

エネルギーと天然資源の需要と供給

 20世紀の終わりまで、世界中の人々は、機械や自動車、発電等々に使っている化石燃料が、ほぼ無尽蔵で、安価で、政治的に問題がなく、気象に与える影響も少ないと思っていた。

 だが、今やそれが一変した。化石燃料は尽きる可能性があり、価格はどんどん高くなり、政治、生態系、気象に悪影響を及ぼしている。

 なぜか? それは、世界の人口過密化とフラット化が2000年前後に重なり合い、エネルギー、天然資源、食料への需要が一気に高まったからだ。

 先進国は相変わらず大量のエネルギーと天然資源を消費し、巨大な新興国がそこに加わった。

 ところが実際は、1日300万バレル増加し、中国だけでも1日100万バレル増加した。そのため、04年を境に需要の急上昇が続き、08年に原油および天然ガスの価格急騰を迎えたのである。

 だが、問題は石油と天然ガスにとどまらない。今や、鉄、ボーキサイト、アルミニウム、建設資材などあらゆるものが不足している。

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