2009年10月号掲載
新訂 競争の戦略
Original Title :COMPETITIVE STRATEGY
著者紹介
概要
競争戦略論の古典として、ロングセラーを続ける1冊。マイケル・E・ポーター教授の処女作でもある。本書では、競争の3つの基本戦略である「コストのリーダーシップ」「差別化」「集中」を詳述し、後半では、業界の成熟度や集中度などの業界環境のタイプ別に、最適の競争戦略を説く。姉妹編の『競争優位の戦略』では、この基本戦略を企業が実践するための具体的手法を述べている。
要約
5つの競争要因
競争戦略を作る際の決め手は何か? それは、会社をその環境との関係で見ることである。
会社の環境といっても非常に広く、経済的要因から社会的要因まで考えねばならないが、中心となるのは「業界」である。業界構造のあり方が、競争ゲームのルールを大きく左右させる。
競争の根は業界の経済的構造の中にあり、基本的に、次の5つの要因が競争状態を決める。
①新規参入の脅威
まず、「新規参入の脅威」がある。
ある業界に新規参入が起こると、製品価格が低下するか、既存の業者のコストが高騰するかして、収益が低下する。
新規参入の脅威がどれくらいあるかは、参入への障壁がどれくらいあるか、および、既存の業者が新規参入業者に対してどれくらいの反撃を起こすと参入者が予想するか、これによって決まる。
参入障壁には、「規模の経済性」「製品差別化」「巨額の投資」「仕入先を変えるコスト」「流通チャネルの確保」などがある。
②既存競争業者の間の敵対関係の強さ
既存の企業は、価格、新製品の導入、顧客サービスの拡大などの戦術を使って互いに競争する、敵対関係にある。