2010年4月号掲載

新・マネー敗戦 ドル暴落後の日本

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著者紹介

概要

20世紀は、米国がドルの基軸通貨としての地位を確立し、一人勝ちを収めた時代といえる。金本位制を捨て、ペーパーマネー化することなどで築かれた“米国金融帝国”。その歩みを、かつて為替ディーラーを務めた著者が丹念にたどる。そして今、64兆ドルともいわれる巨額の債務を抱える米国が行う可能性がある、“究極の借金棒引き策”を提示する。

要約

基軸通貨国の戦略

 経済学の教科書に、貨幣の定義として必ず出てくるのが、①価値保存の手段、②決済手段、③価値尺度である。

 貨幣が歴史に登場して以来、長い間この3つの役割を担うのに最もふさわしいものとして、人類は金属を選んできた。

 金貨や銀貨などの貨幣に含まれる貴金属の分量によって価値が決定していたこの貨幣に対して、現在の硬貨や紙幣は、信用だけに支えられたペーパーマネーにすぎない。

 我々は、今の通貨システムを当然のように受け入れているが、歴史的に見れば、お金に対してモノの裏づけがなくなったのは、金本位制が停止してからのわずか40年にすぎないのである。

 現代の通貨システムが正しいかどうかなど、たかだが40年でどうして判断できるだろうか。

 少なくともここ100年、基軸通貨として君臨してきた米ドルがどれだけ世界に充満しているのか、それすら把握できない状況である。これではモノとお金の関係を正確に割り出せないし、実体経済そのものがどういう状態にあるのかもわからない。

金本位制の意義

 金本位制の下では、銀行が保有する金が貸し出しの抑止力となっていた。

 例えば、銀行がローンを貸し出すと、金を元に貸し出した紙幣は利息とともに戻ってくる。

 金という足枷が銀行にあれば、どんなにローンの需要があっても、ある時点で銀行は貸し出しを抑制する。その結果、景気拡大に歯止めがかかり、一時的なリセッションに突入する。

 垂れ流し的に資金を供給してバブルが膨らむだけ膨らむという以前に、資金自体が続かないので、そもそもバブルは発生できなかった、ともいえる。

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