2010年5月号掲載
マーケティングマインドのみがき方
著者紹介
概要
マーケティングといえば、理論ばかりがクローズアップされがちだ。しかし、マーケティングを成功させるには、理論の前に、顧客を喜ばせようとする心、つまり「マーケティングマインド」がなくてはならない。このように指摘する著者が、BMW、ユニクロなど様々な事例を引きつつ、マーケティングマインドを磨くための基本的なフレームワークをわかりやすく説く。
要約
市場と顧客の変化の波を読む
マーケティングの世界で有名なフィリップ・コトラーは、インタビューで次のように語っている。
「マーケティングとは、満たされていないニーズを満たすことです。人々が欲しがるもので、なおかつ他の人が提供できないものを探すこと。そうすれば成功する」
要するに、顧客を喜ばせつつ、差別化しないとダメということである。
だが、この条件を満たすのは簡単ではない。なぜなら、すでにモノは溢れているからだ。
また、ある分野については、顧客の方が経験が上だったりする。例えば、今や50代、60代のツアーの参加者で、添乗員よりも旅をした回数が多いという人はいくらでもいる。
このような状況では、企業が顧客の満たされていないニーズを察知し、「これがあなたの欲しいものだったでしょう」と差し出すのは難しい。
従って、顧客の求めるものは何であるかと想像力を働かせ、顧客の声に耳を傾ける必要がある。
そして、「次に来るもの」は何なのか、時代の変化の波を読み、自分なりの仮説を立て、何をするかを決めなくてはならない。
その変化の波は、次の3つに大別できる。
①非常に長い不可避のトレンド「大きな波」
「この方向に間違いなく行く」とわかるもの。例えば、電子機器はどんどん小さくなる方向にある。ファッションも、ここ数十年、カジュアル化という大きなトレンドを一直線に進んでいる。
②時折起こる揺り戻しのような小さな波「揺らぎ」
パソコンの普及により、自分の手で文字を書くことが減っている。だが、実は2000年頃から万年筆ブームが起きている。