2011年1月号掲載
「戦略課題」解決 21のルール
著者紹介
概要
企業が直面する様々な経営戦略上の課題。それらを解決するには、一体何が必要か? コンサルタントとして企業戦略の立案などに携わってきた著者が、戦略上の課題を見極め、解決を図るための秘訣を明かす。「事実に向き合う」「課題の本質に迫る」「あるべき姿にこだわる」等々、戦略課題解決に不可欠な「おさえどころ」が、実例を交えてわかりやすく解説される。
要約
戦略課題解決の「おさえどころ」
経営コンサルティング会社、マッキンゼーで課題解決の仕事を始めて以来、足掛け20年以上も戦略的な課題解決の仕事に携わってきた。
その時々でテーマは異なっていたものの、経営戦略上の課題を見極め、解決策を立案するという意味では、いずれも共通した「おさえどころ」があった。例えば ――
意志を持つ
戦略課題解決において、最も大事なこと。
それは、多くの解決策の中から「これぞ進むべき道」という策を選択し、それを実現に向けて推し進めていく強固な「経営の意志」である。
実際、意志のないままに過去の事業展開を踏襲した結果、企業としての独自性を失ってしまったり、逆に創業の精神を忘れて無軌道な業容拡大に走り、精彩を失いつつある企業も少なくない。
優れた経営者は、ここ一番の勝負所では必ず自らの意志で決断し、最後までやり遂げるものだ。
例えばソニーの創業者の1人、盛田昭夫がそうだ。彼は米国におけるビデオの新製品導入に際し、幹部のハービー・シャインと対立したことがある。
シャインは1972~78年、ソニーアメリカを増収増益に導いた実力社長で、短期的な投資リターンが望めないビデオ市場開拓投資には反対だった。
一方、盛田は「技術開発投資こそ、長期的繁栄につながる最も重要な戦略課題の1つ」と考えていた。そのため、異論を唱えるシャインに「当該投資を実行しなければクビにする」と通告する。
会社の将来の成長のためには、有為な人材を失うこともやむを得ないとの判断だ。
これはまさに経営の意志であり、決断の奥底にあったのはソニーの経営哲学だった。