2011年9月号掲載
ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと。
著者紹介
概要
ドラッカーを敬愛し、全著作を読破した経営コンサルタントが、“マネジメントの父”の教えの真髄をやさしく説いた書である。どこもかしこも重要に見える『マネジメント』。同書で、読者に最も伝えたかったことは何かが、端的に示される。ドラッカーのいうマネジメントの本質、それは経営者ばかりか、多くのビジネスパーソンにとっても貴重な指針となるはずだ。
要約
外部からの視点を徹底する
今、ピーター・ドラッカーが注目を集めている。
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の爆発的ヒットで、『マネジメント』に興味を持つ人も急増した。
しかし、読んではみたものの、「わかったようでわからない」という人も多かったようだ。
確かに同書は、どの個所も重要に見えるが、実はその説くところは、ごくシンプルなことである。
マネジメントの「3つの役割」
ドラッカーは、マネジメントをこう定義する。
マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で3つの役割がある。
-
- ①自らの組織に特有の使命を果たす。
- ②仕事を通じて働く人たちを生かす。
- ③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。
まず、理解すべきなのは、3つの役割は全て「社会が関心を持っていること」だということである。「外部からの視点」と言い換えることもできる。
ドラッカーを読む上では、この「外部」という視点が欠かせない。
マネジメントとは、一般的には「組織などを管理すること」だと考えられている。管理というと、自社のヒト、モノ、カネなどの管理、すなわち、内部に目を向けることを連想する。
だが、ドラッカーは内部ではなく、まずは社会やお客様をはじめとする外部に目を向けろと言う。
その上で、社会が関心を持っている3つの役割を果たすことが大切なのだ、と私は解釈している。