2011年12月号掲載
中国で勝つ 10の原則と50の具体策
著者紹介
概要
中国市場で苦戦する日本企業が多い。その背景には、中国に対する理解不足がある。日中両国は地理的に近く、文化的にも共通点が多いため、ビジネス環境も似ていると思いがちだが、実は大きく違う。このように指摘する著者が、日本と中国の根本的な違い、日本企業の過去の失敗・成功事例を分析した上で導き出した、複雑な中国市場で勝つための具体策を提示する。
要約
中国で勝つための具体策
日本企業は中国市場で苦戦している。その原因としては、激変する中国への理解が足りないこと、戦略が間違っていることなどが挙げられる。
日本企業が中国で勝つためには、日本と中国の違いを理解した上で行動する必要がある ―― 。
地域ごとにアプローチを変える
中国では、プロモーションを行う場合、地域に合わせた異なるアプローチが必要とされる。
例えば、上海人は自分を大都会人だと自負しており、物質主義を崇拝する傾向がある。そのため、プロモーション時のコミュニケーション・メッセージとしては、いかに洗練されたように見せるか、というところに重きを置くと効果がある。
北京人は首都および政治文化の中心にいることにプライドを持っており、面子(メンツ)を重んじる傾向がある。そのため、コミュニケーション・メッセージとしては、高級感とブランド、社会的責任、社会的影響力を強調する必要がある。
プロモーションの際には、こういった地域ごとに異なる消費者の特徴をとらえ、各々に合わせたアプローチを考えなければならない。
マネジメント・スタイルおよび気風の違いを理解する
日中企業のマネジメント・スタイルの違いを理解すること。これも、中国市場で成功するためには絶対に必要である。
1つ目の違いは、日本企業は「計画」「プロセス」「サプライチェーン」に重点を置く特徴があるのに対し、中国企業は「結果」「効率」に重点を置き、さらに、結果を出すためには「形にこだわらない」という点である。
例えば、企業が鉱山を買収する際に、日本企業であればどのルートと方法を使って鉱物を運ぶのか、サプライチェーンをある程度計画してから買収に着手する。しかし中国企業の場合、よい鉱山が手頃な金額で買えるタイミングがあったら、まずは購入し、後からどう運ぶのかを考える。
日中企業の違いの2点目として、経営者・管理職の意思決定のプロセスが挙げられる。
日本企業は組織で物事を決める。規則を遵守し、利益よりも和を重んじる。反対に中国人経営者は、自分のやり方で意思決定を行う。そして、自分が利益を上げないと市場は他人のものになるという危機感を常に持ち、利益に鋭いところがある。