2012年1月号掲載
変化の時代、変わる力 続・経営思考の「補助線」
著者紹介
概要
今日は、まさに「変化の時代」だ。企業が生き残るには、激変する環境への適応が欠かせない。この「変化」と「適応力」をテーマに、ボストン コンサルティング グループの日本代表・御立尚資氏が、縦横無尽に語った1冊である。将来“有り得る世界”を想定するためのシナリオプランニングや有事のリーダーの育成など、環境の変化に備えるためのヒントが満載!
要約
変化できるものが生き残る
今はまさに、「変化の時代」である。
多様な分野で、「急激でインパクトの大きい環境変化」が数多く発生し、それらへの適応力が強く求められている ―― 。
同時多発する変化がリスクを膨らます
まず、欧州の財政・金融危機が、かなりきな臭い。米国も不安定だ。「不動産を中心とする資産バブル」崩壊からの回復が進んでいない。
新興国でも、資源価格の高止まりや賃金上昇圧力の高まりから、インフレ傾向が強まっている。
どうしてこういった「リスクが顕在化しやすい」状況になってきているのか。
3種類の構造要因に、その源泉がある。
第1に、様々な領域の「金融商品化」と金融市場での「ボラティリティ(変化率)拡大」がある。
元来、金融商品・サービスやその市場は、実体経済側のニーズから出てきたものだ。ところが、いつの間にか、「金融プレーヤー中心の、金融市場の中での利益追求」を目指した行動がとられるようになった。
リーマンショックで明らかになった、証券化商品の金融プレーヤー間の取引はその典型例だ。
先進国が揃って金融緩和に走り、マネー自体が有利な投資先を求めてグローバルに駆け巡るため、市場のボラティリティが拡大しやすい状況にある。
第2に、いくつかのメガトレンドの影響である。