2012年2月号掲載
志を育てる リーダーとして自己を成長させ、道を切りひらくために
- 著者
- 出版社
- 発行日2011年12月15日
- 定価1,870円
- ページ数261ページ
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著者紹介
概要
志を抱いて生きる。そのことの重要性は、古今東西、多くの人が説いている。だが、そもそも志は何が契機で生まれ、どうすれば育むことができるのか、といったことに関する研究は少ない。本書は、こうした現状に一石を投じるもの。グロービス経営大学院の研究チームが、多くの経営者のヒアリングや事例調査を基に、志を醸成するためのプロセスを解き明かす。
要約
「志」とは何か
古今東西、数多くの人が、志を抱いて生きていくことの大切さを説く言葉を残している。
例えば、明治維新の志士たちの精神的支柱となった「陽明学」を作り上げた王陽明は、「志が立たねば、天下のことは何一つ成し遂げることができない」と語っている。
しかし、どのように志が醸成されるのか、何がきっかけでその志が生まれるのか、といったことに関する研究や記述はほとんど存在しない。
その結果、志を抱いて生きたいと思えば思うほど、参考とするものがないため、志とは何なのかという迷宮に入ってしまう場合が少なくない。
そこで、志とは何か、志はどのようなプロセスで醸成されるのか、といったことを明らかにするために、インタビュー調査を中心に検討を行った。
「志」という言葉が意味するもの
まず、調査対象とした30名余りの人々に、「あなたにとっての志とは何か?」という質問をしたところ、実に様々な回答が寄せられた。
「自分の生きる証、自分の生きた証」「試練を克服し、矛盾を乗り越えていくためのもの」「心からやりたい、取り組もうと湧き出てくるようなもの」…。まさに、十人十色の定義である。
そこで本書では、志を次のように定義した。
「一定の期間、人生をかけてコミットできるようなこと(目標)」
この定義は一見すると、多くの読者が想定する「志」のイメージからは遠いものかもしれない。一般的には「高尚なもの」「他人のために動くこと」が志のように思われているからである。
例えば、多摩大学初代学長の野田一夫は、「志とは壮大なものであり、人に感動を与えるものであり、成すことを事前に意思決定するものである」と定義している。