2012年2月号掲載

志を育てる  リーダーとして自己を成長させ、道を切りひらくために

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著者紹介

概要

志を抱いて生きる。そのことの重要性は、古今東西、多くの人が説いている。だが、そもそも志は何が契機で生まれ、どうすれば育むことができるのか、といったことに関する研究は少ない。本書は、こうした現状に一石を投じるもの。グロービス経営大学院の研究チームが、多くの経営者のヒアリングや事例調査を基に、志を醸成するためのプロセスを解き明かす。

要約

「志」とは何か

 古今東西、数多くの人が、志を抱いて生きていくことの大切さを説く言葉を残している。

 例えば、明治維新の志士たちの精神的支柱となった「陽明学」を作り上げた王陽明は、「志が立たねば、天下のことは何一つ成し遂げることができない」と語っている。

 しかし、どのように志が醸成されるのか、何がきっかけでその志が生まれるのか、といったことに関する研究や記述はほとんど存在しない。

 その結果、志を抱いて生きたいと思えば思うほど、参考とするものがないため、志とは何なのかという迷宮に入ってしまう場合が少なくない。

 そこで、志とは何か、志はどのようなプロセスで醸成されるのか、といったことを明らかにするために、インタビュー調査を中心に検討を行った。

「志」という言葉が意味するもの

 まず、調査対象とした30名余りの人々に、「あなたにとっての志とは何か?」という質問をしたところ、実に様々な回答が寄せられた。

 「自分の生きる証、自分の生きた証」「試練を克服し、矛盾を乗り越えていくためのもの」「心からやりたい、取り組もうと湧き出てくるようなもの」…。まさに、十人十色の定義である。

 そこで本書では、志を次のように定義した。

 この定義は一見すると、多くの読者が想定する「志」のイメージからは遠いものかもしれない。一般的には「高尚なもの」「他人のために動くこと」が志のように思われているからである。

 例えば、多摩大学初代学長の野田一夫は、「志とは壮大なものであり、人に感動を与えるものであり、成すことを事前に意思決定するものである」と定義している。

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