2012年3月号掲載
イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル
Original Title :The Innovator's DNA:Mastering the Five Skills of Disruptive Innovators
- 著者
- 出版社
- 発行日2012年1月17日
- 定価2,200円
- ページ数323ページ
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著者紹介
概要
名著『イノベーションのジレンマ』の著者、クリステンセンの最新刊。アマゾンのジェフ・ベゾスやイーベイのピエール・オミダイア等、革新的な経営者たちを分析し、導き出した、イノベーションを起こす人に共通する5つの能力を紹介する。「イノベータDNA」。こう命名されたその能力は、先天的なものにあらず。すなわち、誰もが後天的に育成することができる!
要約
創造性は遺伝的素質ではない
創造的な人は、普通の人とどう違うのか。
よくいわれるのは、創造的に考える力は生まれつきということだ。アップルのスティーブ・ジョブズのような人は、創造の遺伝子を持って生まれたと、ほとんどの人が思っている。
だが、これはほぼ間違いである。そのことを、ジョブズを例に示そう。
アップルの名を一躍、世に知らしめたコンピュータ、アップルⅡ。そのカギとなったイノベーションの1つは、「パソコンは静かであるべきだ」という、ジョブズの決定から生まれた。
このこだわりは、彼が禅と瞑想を学んだ経験からきている。パソコンのファンの音が精神集中を妨げると感じたジョブズは、アップルⅡには冷却ファンをつけないと決めた。
そこで、彼は発熱量の少ない電源装置を設計できる人を探し、ロッド・ホルトという男を見つける。ホルトは、ファンのいらない装置を開発した。
ジョブズの静音へのこだわりと、ホルトの革新的な電源装置を実現する能力が、アップルⅡを史上最も静かで最も小型のパソコンにしたのだ。
もしジョブズが、「なぜパソコンにファンがいるんだ?」と問わなければ、アップル製のパソコンは今のような形では存在していないはずだ。
彼はまた、ゼロックスが未来のオフィスを創造する目的で設立したパロアルト研究所を見学したことがある。数々のアイコンやウィンドウが画面に並び、その全てをマウスのクリック1つで操作するコンピュータを観察した彼はこう語っている。
「いつか全てのコンピュータが、こんなふうに動作するようになるとはっきりわかった」
そして、ジョブズは5年をかけてアップルの設計チームを指揮し、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を搭載した世界初のパソコン、マッキントッシュを開発した ―― 。