2012年10月号掲載
ウェブはグループで進化する ソーシャルウェブ時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」
Original Title :GROUPED:How small groups of friends are the key to influence on the social web
著者紹介
概要
ウェブ上の情報が激増する中、ウェブにおける人々の行動が変化している。すなわち、コンテンツの閲覧よりも、他人とのコミュニケーションに費やす時間が増えた。このことは、ビジネスにどんな影響を及ぼすのか。フェイスブックで活躍する気鋭の研究開発者が、ウェブ上での人々の意思決定や情報伝達の変化を解明し、新しいマーケティング活動のあり方を説く。
要約
変化するウェブ
5年前、ゲーム業界にジンガは存在しなかった。それが今や、同社は世界最大のゲーム会社である。
だが、従来のゲーム業界の評価指標に照らしてみると、ジンガのゲームはあらゆる面で劣っている。画像は粗く、内容は貧弱で、深みがない。
ただし、他社のゲームにはない特徴が1つだけある。それはプレーヤーとプレーヤーの人間関係を中心にゲームが構築されている点だ。友人がゲームをしていれば、プレーヤーはそれを知ることができ、彼らと一緒に遊ぶこともできる。
つまり、ジンガが行っているのは、人々を中心にしたビジネスなのだ。
ウェブは人を中心にした構造へと変わる
このように、ウェブが人を中心にした構造へと変化することは、もはや止めることのできない流れといえるだろう。
今ウェブは、人々を結びつけるものに変わろうとしている。例えばSNSのプロフィール欄を読めば、その人が何に関心を抱いているのかわかるし、友人欄を見れば誰を信頼しているのかがわかる。
ビジネスが人々を中心に行われるものである以上、ウェブの根本的な変化は、多くの企業に影響を与えるだろう。
ウェブ上で成功するためには、企業は変化の裏側に人々のどのような行動が隠されているのかを理解すると同時に、なぜウェブが人中心型に再構成されつつあるのかを理解しなければならない。
なぜソーシャルウェブが重要なのか
マーケティングの世界に、「少数者の法則」という概念がある。これは社会の中でわずかに存在する、大きな影響力を持つ人物の考えを変えることができれば、時には何万人という人々にも影響を与えることができるという理論だ。
過去10年のマーケティング活動の多くは、こうした「インフルエンサー」を発見し、メッセージを根づかせることに注力してきた。
しかし最近の調査によって、大勢の人々に影響を与えられるような人物は、非常にまれな存在であることが明らかになっている。