2012年10月号掲載
TOP1%のリーダーだけが知っているNEWプロジェクトの作り方
著者紹介
概要
著者は、リクルートグループで20年にわたって、求人メディア事業に携わってきた。その中で気づいたのは、儲かり続ける会社には、共通して「すごい仕掛け」があること。本書は、この仕掛けについて説くものである。コミューン(共同体)思想の導入、高齢者や主婦の活用…。様々な事例を交えて解説するとともに、職場で実践するための方法を伝授する。
要約
儲かる会社の「すごい仕掛け」
「ブルーレット」をはじめとしたヒット商品を連発する「小林製薬」、ブログが飽和産業となった今もなお、ピグといった仮想空間で進化を続ける「サイバーエージェント」。
これらのヒットメーカーには、どんな魔法が仕込まれているのか? 答えは1つ。稼ぎ続ける会社に共通することは、「社員が寝る間も惜しんでアイデアを考える仕組み」があることだ。
例えば、小林製薬では年間40万件を超えるアイデアが社員から寄せられる。仮にその年のヒット製品が10個だとすると、99.99%はムダなアイデアになる計算だ。99.99%のアイデアが捨て案になる現実の中で、社員たちが喜んでアイデアを出し続けているところに同社のすごさがある。
このように、小林製薬をはじめ、ヒット事業を連発する企業の多くには、社員たちが喜んで知恵を提供したくなる、そんな「すごい仕掛け」がある。例えば ――
コミューンの導入で、出社するのが楽しみな職場に
儲かる会社には“笑顔で会話しているシーン”が職場にあふれている。その笑顔をつくるカギは、社内に「コミューン(共同体)」があることだ。
コミューンとは、「絆」をベースとした1人1人が主役の組織を指す。例えば大学のサークル、町内の青年会といった組織もコミューンである。
コミューン思想を経営に取り入れ、たった3年で新卒の離職率が30%から2.7%になった会社がある。人材スカウト業のレイス社だ。
同社が行った仕掛けは、里親制度。入社3年目の社員を「里親」に認定し、その下に入社2年目の社員を「里兄、里姉」として置き、そして新人を「里子」としたバーチャル家族をつくる。
いわゆるメンター制度との違いは、1対1ではなくコミューンにしている点だ。毎月1回は4人の食事会「里家族会」を開く。費用は会社負担。社員の評価も上々で、「見守ってもらえている感じがする」といった声が上がっている。
このように、コミューン思想を取り入れるだけで、職場の雰囲気はガラリと変わる。
事前承認をなくし、スタッフの才能を活かす
儲かる会社は、新規顧客を増やし、既存客のリピート率を高めながらも、安売りはしない、そんな「三律背反」するシナリオを実現させている。