2012年12月号掲載
「たった1人」を確実に振り向かせると、100万人に届く。 「市場の空席」を見つけるフォーカス・マーケティング
著者紹介
概要
Twitter、Facebook等のソーシャルメディアの浸透により、ビジネス環境が激変した。情報が溢れすぎて、企業のメッセージがまともに届かない。本書は、こんな時代の新しいマーケティングを説くものだ。従来の「広く、多く」から「狭く、濃く」へ。平均点ではなく「たった1人」の100点満点を狙い、そこから顧客を広げる、新たなマーケティング手法を紹介する。
要約
コア・アイデアを見つけよう
今、僕たちは騒音が高まる中で暮らしている。
メール、Facebook、Twitter、電話、チラシ、DM…。騒音は相当なものだ。
すなわち、生活者・顧客のアテンション(注意)を得にくくなっている。
彼らは集中力がない。電車の中では、寝ているか、起きている人はスマートフォンでずっと何かしている。「ソーシャル発信癖」とでも呼べばいいのか、ビールを飲んでいても、海で遊んでいても、写真を撮ってはFacebookにアップする。
この傾向は今後もっと強まるだろう。つまり、「うるさすぎてメッセージが伝わらない」時代なのだ。では、どうすれば耳を傾けてもらえるか。
ミサイルを持っていたら、どこを攻撃すればいい?
「君のビジネスをつぶすには、どうすればいい?」 ―― 変な質問だが、真剣に考えてほしい。
同じ質問を、工業用の計測器を製造・販売する明治創業の老舗の経営者にした。
しばらく彼とやりとりして出てきたのが、製品のコア部分に使っている、ある部品だった。独特のノウハウが詰まっているらしく、自社で製作はできない。つまり、彼の会社はその仕入れ先がなくなったらつぶれてしまうのだ。
ここでもう一歩、踏み込んで考えてみよう。仮に、コア部品を自製できるようになったとする。では、そうなった時、どうしたらつぶれるか?
彼の製品(計測器)がしてくれること(=何らかのアイデア)を必要とする顧客がいなくなったらビジネスは成立しなくなる。
そのアイデアとは、「(計測器を使って)目に見えないものを数値に可視化する」ことだ。