2013年1月号掲載
商売心得帖
著者紹介
概要
「経営の神様」松下幸之助氏が、商売や経営について折に触れ話し、書いてきたことをまとめたもの。「正しい仕事をしておれば悩みは起こらない。悩みがあれば自分のやり方を変えればよい」「不景気もまたよし、不景気だからこそオモシロイんだ」…。自らの経験に裏打ちされた金言の数々は、今も色褪せることなく、ビジネスの基本、本質を私たちに教えてくれる。
要約
商売の心得いろいろ
これまで、松下電器の経営にあたってきた中で、商売の心得として、その時々に話し、また書いてきたものがいろいろある。
それらを見直してみると、結局、商売には、次のような基本姿勢が大切だということがわかる。
世間は正しい
商売を力強く進めていくために大事なことの1つは、いわゆる世間というものを信頼することである。私は、世間とは基本的に正しいものであり、世間の見るところは常に健全だと考えている。
ありがたいことに、世の中というものは、こちらが間違ったこと、見当はずれのことをやらない限り、必ず受け入れ、支持してくださる。
このことは、今までの様々な体験を通じ、身にしみて味わってきた。だから正しいことさえしていれば、ということで、基本的には安心している。
つまり、「正しい仕事をしておれば悩みは起こらない。悩みがあれば自分のやり方を変えればよい。世間の見方は正しいのだ」と考えている。
そう考えるところに、大きな安心感が生まれ、いたずらに動揺することなく、日々の商売に力いっぱい打ち込んでいけるのではないかと思う。
どれほど喜ばれているか
自分の店はどれくらいお得意先の役に立っているかということを、様々な角度から自問自答する。これも商売において大事なことの1つである。
例えば、もし仮に自分が店をたたんだ場合、お得意さんが「惜しい店がやめたナ」と残念がってくださるかどうか。そのような検討を絶えず繰り返しつつ商売を営んでいくなら、そこから、「自分のやり方にはまだまだ配慮が足りなかった」ということが次々と出てくるのではないか。
陳列の仕方を変えるということ1つを考えてみても、商品を少しでも多く売るためにやるというのも1つの考え方だろう。
だが、せっかく来て下さったお客さんに楽しんで頂こうというところから出発して工夫してみる方が、よりお得意さんに喜んで頂ける陳列の仕方が生まれてきて、結局は成果も上がることになる。