2013年5月号掲載

いかにして人物となるか 先哲に学ぶ「器量」を大きくする生き方

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著者紹介

概要

7歳で『論語』の素読を始めた著者・伊與田覺氏は、長年にわたり安岡正篤氏に師事、数え98歳の今も先哲から学び続けている。本書は、まさに“求道の人”である氏が、昨年、「いかにして人物となるか」と題して講義した際の記録をまとめたもの。個人として、社会人として立派な人物になる上で大切なことが、孔子や王陽明などの教えを基に、わかりやすく説かれる。

要約

「人物」となるために

 「人と成る」と書いて「成人」という。これは『論語』に出てくる言葉で、2つの意味がある。

 1つは、上から読む「成人」。これは、いわゆる大人(おとな)という意味である。

 もう1つは、下から読んで「人と成る」。すなわち、立派な人間になるという意味だ。そういう立派な人間のことを「大人(たいじん)」という。

 『論語』に、「性、相近きなり。習、相遠きなり」とある。もともと人間というものは、生まれた時には1人1人に大した違いはない。誰もが「相近き」ものだ。しかし、習うこと、学ぶことによって大きな差が出てくる、という意味である。

 では、人と成るためには、何を学べばよいのか。

「個人」に備わった「徳性」「知能」「技能」の3要素

 人には2つの側面がある。1つは、個人としての人。もう1つは、社会人としての人だ。この両面で、立派な人物になっていくことが大切である。

 個人という面では、人間は誰でも生まれながらにして、3つの要素を天から授けられている。

 第1は「徳性」。徳というのは人間の良い行いのもととなるもの、性とは生まれつき天から与えられた資質である。

 物事には必ず「本末」、すなわち根本的な本筋と、そうでない部分がある。徳性、知能、技能を本末という点で分けると、本に相当するのが徳性、そして、末にあたるのが知能、技能である。

 学ぶという観点からは、徳性を育てる方が「本学」、知能・技能を育てる方が「末学」になる。

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