2014年1月号掲載
シナリオ・プランニング 未来を描き、創造する
Original Title :SCENARIO PLANNING:A Field Guide to the Future
著者紹介
概要
「シナリオ・プランニング」は戦略立案の一手法で、未来を複数描き、それに備えるもの。ロイヤル・ダッチ・シェル社がこれを使って「石油危機シナリオ」を作り、備えたことで1970年代の石油危機に対応できた話は有名だ。本書は、このシナリオ・プランニングの手法を、各種事例を基にわかりやすく解説。適宜挿入される図版が理解を助け、目を楽しませる。
要約
未来は予測せず、想像しよう!
多くの企業は、現在の延長線上に未来があると仮定した予測のもとに、戦略を策定している。
だが、未来への道は直線ではなく、曲がりくねった道だ。現在の延長線上に未来を予測するのは、夜に後ろを見て車を運転するようなもの。私たちは目の前の道がどこにつながっているのかを考える方法を探すべきである。その1つの方法が「シナリオ・プランニング」だ。
シナリオ・プランニングでは、様々に異なる未来の可能性があると考え、未来のシナリオを描く。
このシナリオを念頭に置くことで、柔軟な戦略が練れる。それは、どの未来が実際にやってきても、臨機応変に闘えるような戦略になるだろう。
では、実際には何をどうすればいいのか?
進め方に決まったやり方はないが、大体、次の6つのステップに従って進める。
①課題を設定する
「その産業の未来に、どのような可能性があるか?」等々の課題を設定する。
②情報を収集する
未来のシナリオを描くには、今起きている重要なトレンドを理解する必要がある。そのためには専門家に取材するなどして、対応すべき課題に関するデータをできるだけ大量に持つのが望ましい。
③未来を動かす「ドライビング・フォース(原動力)」を特定する
未来に大きな変化をもたらす可能性を持つ “何か”を特定する。その際、政治・経済・社会・技術の面から考える。
④未来を左右する「分かれ道」になるような要因を見つける
③で挙がったドライビング・フォースの中から、未来を最も左右する「分かれ道」となるような要因を2つ特定する。
⑤シナリオを考える
④で選んだ2つの要因を軸とする2×2のマトリクスを作る。このマトリクスの4象限が、それぞれ異なる未来のシナリオの輪郭を表す(次図)。