2014年5月号掲載
シンプルな戦略 戦い方のレベルを上げる実践アプローチ
著者紹介
概要
「シンプルな戦略」とは、戦略目的や達成目標が明快で、目指す方向性が一言で言える戦略のこと。巷の“戦略”を見ると、複雑で、的が絞られておらず、それゆえ残念な結果に終わるものが少なくない。重要なのは、シンプル。マッキンゼー在籍25年のコンサルタントが、シンプルな戦略の要件、作り方の基本、それを応用した戦略構築のパターンなどを教える。
要約
その戦略は一言で言えるか
優れた戦略は、考え抜かれ磨き込まれた結果、シンプルになる ―― これは私の持論である。
では、シンプルな戦略とは、実際どのようなものだろうか。
シンプルな戦略のエッセンス=「明快さ」
「その戦略は一言で言えるか」―― これが、シンプルな戦略の最も重要な要素である。
戦略目的や達成したい目標が明快かつ具体的で、かつ、目指す方向性が一言で言える戦略こそが、最上の戦略といえる。
そして戦略のWhatが明快であることと同時に、その背景であるWhyも明快であることが重要だ。
Why ―― なぜこの戦略がよいのか、なぜこの戦略で目的が達成できるのか。なぜこの戦略が他のものより有効なのか。
こうした基本的な問いに対して、「Aという目的のためにB戦略で行く。それがなぜいいかというとC、D、Eの理由による」と明快に答えられることである。
「3大基本要件」をシンプルに満たしているか?
もう1つ、シンプルな戦略の要件として非常に重要なのが、その戦略やその戦略の結果として行うビジネスが「効果的な戦略の3大基本要件を満たしているか」である。
3大基本要件とは、シンプルな次の質問に答えられることである。
- Q1 顧客にとって、うれしいことかどうか(顧客価値)
- Q2 それは他の会社とは違うのか(差別化)
- Q3 自社は儲かるのか(収益性)
事業は顧客のニーズを満たす何らかの価値を提供してその対価を得る活動だといえる。従って、自社の優れた技術やアイデアを駆使した製品やサービスを市場に打ち出しても、それを顧客が評価してくれないと、事業活動の本質とはなり得ない。
その戦略を展開して顧客が喜ぶかどうかは、最も重要な戦略の要件である。