2014年7月号掲載
未来のイノベーターはどう育つのか 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの
Original Title :CREATING INNOVATORS:The Making of Young People Who Will Change the World
著者紹介
概要
経済の健全性を維持し、景気を回復させる上で、イノベーションは欠かせない。新しいアイデアや製品・サービスは、富と雇用を生み出す。では、それを担う人材は、どうすれば育つのか? 最も重要なスキルとは? 150人以上のイノベーターと親、経営者などへのインタビューを基に、今後、様々な分野で求められる“イノベーション能力”を浮き彫りにする。
要約
イノベーターの資質と新たな世代
2008年の世界同時不況以来、アメリカの失業率と不完全雇用率は高止まりしたままだ。
今、緊急に必要とされているのは、21世紀の経済を引っ張る新しい成長のエンジンである。そのために必要なのがイノベーションだ。新しい優れた製品、サービスを生み出さねばならない。
では、イノベーションを起こすのに重要な能力は何か。イノベーターを育てる方法はあるのか。
イノベーターに必要なスキル
イノベーターのスキルと資質について現場の意見を聞くために、私はグーグルのジュディ・ギルバート人材開発部長に話を聞いた。
グーグルが採用で最も重視するスキルは何か。「もちろん賢いことは重要だ」と部長は言う。
「でも知的好奇心の方がもっと重要だ。…私たちは全員にリーダーシップを求める。誰かにリードしてもらうのを待つのではなく、状況をコントロールできる人物だ。グーグルで成功する人は、すぐに行動を起こしたがる傾向がある。問題を見つける能力も重要だが、…誰かがそれを解決してくれるのを待っていないこと。『どうすればもっとよくできるだろう』と自問すること。それからすべてにおいてコラボレーションが必要不可欠だ。周囲に多様な専門性を持つ人がいることに気がつき、彼らから学ぶ能力がある人物を私たちは高く評価する」
イノベーターは育てられる
イノベーターのスキルについては、世界的なデザイン会社IDEOのCEOティム・ブラウンや、『イノベーションのジレンマ』の著者クレイトン・クリステンセンも、ハーバード・ビジネス・レビュー誌に寄稿している。
同誌で彼らが指摘したスキルと、グーグルが社員に求める資質には、かなりの共通点がある。
これらを総合すると、成功するイノベーターに欠かせない資質のいくつかは次のようになる。
- ・好奇心。すなわち、いい質問をする癖と、もっと深く理解したいという欲求。
- ・コラボレーション。これは自分とは異なる見解や専門知識を持つ人の話に耳を傾け、他人から学ぶことから始まる。
- ・関連付けまたは統合的思考。
- ・行動志向と実験志向。
しかし、私が最も重要だと思うのは、こうしたスキルや考え方の癖は、育てたり、教えたり、引き出したりできることだ!
私たちは、クリエーティブな人は生まれつきそうなのだと考えがちだ。しかし専門家は皆、ほとんどの人は正しい環境とチャンスを与えられれば、もっとクリエーティブになれると考えていた。