2014年11月号掲載
未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ
Original Title :The Key
著者紹介
概要
グローバル化やテクノロジーの発達により、世界は様変わりしつつある。社会が大きく変化し、不安定になる中、良き未来を築くにはどうすべきか。組織論の世界的権威である著者によれば、不確実性の増す世界で重要なのは「レジリエンス」(困難な状況への適応力)だという。これを軸に各種事例を交え、企業が今後なすべきこと、新しいリーダーシップ像を探る。
要約
変わり続ける企業と仕事
今後数十年のうちに、新たに誕生する数々のテクノロジーが、かつてないほど広い地域の人間同士をつなぎ、人と仕事との関わり方を変えることで世界は一変するだろう。
こうしたテクノロジーの発展によって各地域の結びつきが強まり続ける。同時に、グローバル化によって商品、サービス、さらには仕事が、遠く離れた地域にまで送り届けられる。今後、こうした変化はさらに加速し複雑になっていくだろう。
では、企業がこれらの変化に備えるにはどうすればよいのか? まずは、今後、企業と仕事のあり方に大きな影響を与えると思われるトレンドを理解することだ。例えば ――
グローバル市場のリバランシング
レノボ。1990年に独自製品の開発に着手したばかりだったこの中国のテクロノジー企業は、2005年にはIBMのパーソナルコンピュータ部門を買収し、世界第3位のPCメーカーになった。
また、90年には地方の一醸造所にすぎなかった南アフリカ醸造社は、2010年には世界最大のビールメーカーの1つにまで成長した。
このグローバルな“リバランシング”は、労働人口が集中する場所が変わったことによるものだ。
先進国の労働人口は2010年から30年までに8億3500万人から7億9500万人に減少するが、新興国の労働人口は約10億人増え46億人に達する。
こうした労働人口分布の変化に伴い、イノベーションや新しいアイデアが生まれる場所も変化している。
人間と仕事が高度につながった社会
安価な通信手段は驚くほどのスピードで普及している。2020年には携帯電話の所有者が60億人を超え、50億人が約500億台の端末を使ってインターネットに接続し、情報やサービスを利用するようになると予測されている。
このどこからでもつながれる状況が、人間や企業に好ましい影響を与えるであろうことは想像に難くない。
有能な人材の偏在
グローバルなバランスが変化し、どこからでもつながることができる時代には、有能な人材が集まる地域が新たに生まれる可能性がある。