2014年11月号掲載

その問題、経済学で解決できます。

Original Title :The Why Axis

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著者紹介

概要

人を思うように動かすには? 女が男ほど稼げないのはなぜ? 『フォーブス』誌の「世界で最も力のある経済学者」に選ばれた2人の著者が、“実地実験”という手法を用いて、人をやる気にさせるもの、インセンティヴに対する人の反応を解き明かす。近頃はやりのビッグデータより、実地実験を使って因果関係を考える方が、意思決定の奥深くにまで迫れるという。

要約

人にやってほしいことをやらせるには?

 人はよく、「これこれのせいで、あれこれが起きた」といったことを言いたがる。

 そういうふうに因果を語る時、実際に実験を行ってデータを集めたのでない限り、よく知りもしないことをもっともらしく語っているにすぎない。

 因果関係がありそうに思っても、実は単純な相関で、因果ではないことがよくある。この世は複雑な関係で満ち満ちていて、本物の因果関係を特定するのはとても難しい。

 最近の流行といえば、「ビッグデータ」だ。データを山ほど集め、パターンを見つけ出す。

 だが、ビッグデータは大きな問題を抱えている。このやり方の背後にあるのは、因果ではなく相関に頼った分析だ。相関は、データをどう組み立てるか、何と何を比べるかで変わる。意味のある相関を意味のない相関と区別するには、何が何を起こしているか、因果を仮定しないといけないことが多い。また、ビッグデータは大きいので、どう掘り進めばいいのかなかなかわからない。

 一方、「実地実験」という方法では、データを作り出す前に、因果関係についてよく考える。だから、ビッグデータよりずっと深いところまで手が届く。例えば ――

罰金とって大失敗の巻

 人に何かをやらせる上で、インセンティヴは便利だ。だが、いつも思い通りの働きをするとは限らない。裏目に出ることさえある。インセンティヴのせいで、期待していたのとは逆の行動を人々がとるのだ。

 何年か前、僕たちはこの点を痛感させられた。ある日、ウリと奥さんのアイェレットは保育園に子どもを迎えに行くのが遅れた。2人を見た園長は口をへの字に曲げた。怒っているのがわかった。

 この発表で園長は、遅れるのが厳密にはどれだけ悪いことか、はっきりさせたのだ。つまり、3ドル分だけ悪い。

 さて、このインセンティヴはうまく働いたか。

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