2014年12月号掲載
アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方
Original Title :The Medici Effect:Breakthrough Insights at the Intersection of Ideas, Concepts & Cultures
- 著者
- 出版社
- 発行日2014年9月26日
- 定価1,870円
- ページ数277ページ
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著者紹介
概要
異なる分野や文化が出会う場所、それを著者は「交差点」と呼ぶ。ここでは既存の概念がぶつかり合い、融合して、目を見張るような革新が次々と生まれる。この場所をいかに見いだすか、そこで見つけたアイデアをどうすれば生かせるか、を指南する。様々な事例とともに説かれる交差点を巡る話は、あらゆる分野のイノベーターに有用な、不朽の原則といえよう。
要約
「メディチ・エフェクト」の起こし方
異なる文化、領域、学問がぶつかり合い、融合することで、新しい画期的なアイデアが生まれる。
異なる分野が出会う場所、それを私は「交差点」と呼ぶ。そして、そこですばらしい革新が次々と生まれることを「メディチ・エフェクト」と呼ぶ。
メディチ・エフェクトと名づけた由来は、創造性が爆発的に開花した15世紀のイタリアにある。
フィレンツェで銀行業を営み繁栄したメディチ家は、幅広い分野の文化人や芸術家を保護した。その結果、フィレンツェには彫刻家や画家、哲学者、科学者、建築家など多種多様な人々が集結した。彼らはそこで互いに学び合い、新しいアイデアに基づく新しい世界をつくりあげ、後の世にいうルネッサンスを花開かせた。
私たちもまた、このメディチ・エフェクトを起こすことができる。そのためには、異なる専門分野や文化が出会う場を探さなければならない。
では、そうしたアイデアの交差点をどのように見いだせばよいのか、また、どうしたらその出会いが可能になるのか。それについて指南しよう。
垣根を取り払う
1995年初めのこと、ニューヨークにあるスウェーデン料理レストラン〈アクアビット〉のエグゼクティブ・シェフが突然亡くなった。
レストランのオーナーは後任者が見つかるまで、最近雇ったばかりのマーカス・サミュエルソンに代役を務めさせることにした。だが、彼はまだ若いので、オーナーには躊躇があった。「本当に24歳の若造に任せられるのか、心配だった」と語る。だが結果的に、それは最良の決断だった。
当時、この店は『ニューヨークタイムズ』で1ツ星の評価を受けた、定評のあるレストランだった。だが、サミュエルソンが厨房を取り仕切るようになって、ほどなく異変が起きた。世界各地の食べ物を組み合わせたユニークな料理がメニューに載るようになったのだ。「牡蠣のマンゴーカレー、ソルベ添え」といった一見わけのわからないメニューもあったが、これがお客のイマジネーションと舌の両方を刺激した。
3カ月後、『ニューヨークタイムズ』はこの独創的な料理に3ツ星の評価を与えた。彼は最年少でこの栄誉ある評価に輝き、以来、米国のトップシェフの1人として、名声をほしいままにした。
この成功の裏には、何があったのだろうか。