2015年2月号掲載

人間における勝負の研究 さわやかに勝ちたい人へ

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著者紹介

概要

受験、就職、仕事…。人生は勝負の連続だ。その戦いにどうしたら勝てるのか ―― 。本書は、将棋界きっての才人だった故・米長邦雄氏が、勝負に不可欠の心得について説いたもの。その棋風と人柄から、“さわやか流”と評された氏ならではの男らしく潔い勝負哲学が、心に響く数々の名言とともに語られる。昭和57年より読み継がれているロングセラーである。

要約

確率・勢い・運をどう考えるか?

 世の中には、「運」や「ツキ」といった人間の知恵や論理では解明できない「不可解な力」がある。それは、どれほどの大きさなのか測ることはできない。しかし、我々はその力にずいぶん影響を受けて生活している。

 では、どうすれば、こうした「力」を自分に有利に使うことができるのか?

人間は、常に悪手の山の中を歩いている

 最も大事なのは「大勢判断」である。この「細部にとらわれず、全体を見る」という姿勢は、「許容範囲」を大切にするという発想を教えてくれる。

 例えば、豊かな人生を送りたいと考えた時、では何でもやりたいことをしていいかというと、そうではない。ここまではいいが、ここから先はダメだ、ということを明確にしておかねばならない。

 将棋でいうと、最善手ではないが、指してもよい手なら、そう思い悩まずに指してよい。しかし、悪手を指さないということには、十分配慮をする。

 将棋には、最善手とそれに近いものが1つか2つあると、一方で悪手が100くらいある。人生も同じようなものだろう。

 将棋にしろ人生にしろ、悪手を指すのは簡単だ。事故を含めて、人を殺すなどということは簡単にできる。横領する、盗むといった悪手ならもっと簡単で、人間が欲望通りに行動していれば、たいてい悪手になる。また、気をつけて歩いていても、車にはねられる危険はいくらでもある。

 要するに、悪手の山の中を歩いているようなものが人生なのだ。こういう状況の中では、悪手を指さないことくらい大切なことはない。

勝負の3要素は、確率・勢い・運

 「確率」は、論理で理解できるものであり、確率を無視しての勝負は勝負師のすることではない。

 次に、勝負は「勢い」がある方が勝つものだ。「ここは打って出なくてはダメだ」という具合に強気に出ると、必ずといっていいほど成功する。

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