2015年4月号掲載
ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ルール、相手、土俵を変える
概要
任天堂を苦境に追いやるスマホゲーム、サーバー貸し出し事業で価格破壊をもたらすアマゾン…。今、競争のルールを破壊する“ゲーム・チェンジャー”が既存の業界に戦いを仕掛け、異業種競争が激化している。この新たな戦い方を「秩序破壊型」「市場創造型」「ビジネス創造型」「プロセス改革型」の4タイプに類型化して詳述するとともに、既存企業の防衛策を示す。
要約
ゲーム・チェンジャーの台頭
今、業界の垣根を越えた顧客の奪い合い ――「異業種競争」が激化している。
例えば2015年1月現在、世界最大のサーバー貸し出し事業者はアマゾンである。そして、それを追いかけているのがグーグルだ。
かつて、サーバー貸し出し事業ではIBMなどのハードメーカーが主役だったが、短期間で主役が入れ替わった。それは、アマゾンやグーグルが自社のサーバーを貸し出すサービスを始めたからだ。
アマゾンやグーグルは自社で巨大な設備を持ち、その一部を中小企業などに貸し出す。そのため、新たな投資ではない。また、外部に貸し出すことで需要を平準化できるため、より効率的な運用ができる。こうした利点を活かして、極めて安価なクラウドサービスの提供を始めたのである。
これは、既存プレーヤーであるハードメーカー側からすると価格破壊だ。しかも、ハードメーカーは、アマゾンのように自社で巨大な設備を持たないので、同じ戦い方ができずに苦しんでいる。
全く異なる世界から価格破壊者が現れて、競争のルールが一変したのだ。
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既存の業界に新たな競争のルールを持ち込む企業を「ゲーム・チェンジャー」と呼ぶ。これには、いくつかのタイプがある。