2022年6月号掲載

イノベーションの競争戦略 優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?

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概要

最近、日本企業からイノベーションが生まれていない。なぜか? それは、「イノベーションの本質」がわかっていないからだ。技術革新=イノベーションではない。「顧客の暮らしを変えること」こそが、その本質だという。本書では、顧客の価値観を変え、行動を変えるためのメカニズムを、様々な企業事例を交えて解説する。

要約

イノベーションの新たな定義

 日本企業で、なぜイノベーションが生まれないのか ―― こうした議論が盛んに行われている。

 そして、そのほとんどは「なぜ画期的なアイデアが生まれないのか」「それがどうしてビジネスとして育たないのか」に終始している。

 しかし、本質はそんなところにない。画期的な発明やサービスは、イノベーションの必要条件ではない。それよりも、新しい製品・サービスを消費者や企業の日々の行動の中に浸透させることこそが、イノベーションの本質である。

 この「行動変容」こそが、企業がイノベーションを起こすためのカギとなる。

イノベーションとは何か

 本書では、イノベーションを「技術革新」と捉える従来の考え方ではなく、「企業によるこれまでにない価値の創造によって、顧客の価値観や態度、行動が変わること」と捉える。

 その定義は、次の通りである。

イノベーションとは、これまでにない価値の創造により、顧客の行動が変わること。

3つのドライバー

 イノベーションを、技術革新ではなく顧客の行動変容と捉えると、注目すべきイノベーションの源泉も変わってくる。行動を変容させるほどの新しい価値は、技術革新のみならず、社会構造の変化や消費者の心理変化の相互作用を背景に創造されることが多いからだ。

  • ・社会構造:社会や業界の根幹を覆すような構造の変化。
  • ・心理変化:消費者を代表とする市場参加者の行動、常識や嗜好の変化。
  • ・技術革新:自社の技術のみならず、業界や社会インフラの技術も含む。

 イノベーションを起こそうとするならば、まずこのトライアングルというレンズで環境変化を捉え、何が自社にとってのドライバーになるのかを見立てることが起点になる。

 

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