2015年4月号掲載

戦争プロパガンダ10の法則

Original Title :PRINCIPES ÉLÉMENTAIRES DE PROPAGANDE DE GUERRE (2001年刊)

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著者紹介

概要

我々は戦争をしたくはない。しかし敵側が一方的に戦争を望んだ ―― 。戦争を始める前、どの国の国家元首もこう言い、自己を正当化する。両次世界大戦の時も、現在のあらゆる紛争においても。世論を巧妙に操る、こうした「戦争プロパガンダ」の基本的な手法について、英国ポンソンビー卿の古典的名著『戦時の噓』の指摘に沿いつつ、具体例を挙げて検証する。

要約

ポンソンビー卿に学ぶ10項目

 『戦時の噓』―― 。1928年、ロンドンで出版された、アーサー・ポンソンビーの著書である。

 ポンソンビー(1871–1946)はイギリス屈指の高貴な家系の出身で、オックスフォード大学を出て、下院の自由党議員になった。

 1914年、イギリスの第1次大戦参戦に異を唱え、彼は自由党を離れて労働党に入党する。そして自由党の議員3人と労働党のリーダーとともに「ユニオン・オブ・デモクラティック・コントロール(UDC)」を結成した。イギリスの外交政策を監視することを目的とする団体である。

 いくたびも訴訟や捜査の対象となりながらも、彼らは、戦中戦後にかけて英政府の戦争プロパガンダを批判する小冊子を発行し続けた。

 ポンソンビーは平和主義者であり、戦争を残虐極まりない、暴力的で野蛮な行為と捉えている。

 だが、彼が自著で語っているのは、それだけではない。第1次大戦中、英政府は国民に義憤、恐怖、憎悪を吹き込み、愛国心を煽り、多くの志願兵をかき集めるため、「嘘」をつくりあげ、広めた。彼は、その嘘を暴こうとしたのである。

 ポンソンビーは自著で、戦争プロパガンダは次の10項目の「法則」に集約できると書いている。

①我々は戦争をしたくはない

 ポンソンビーによると、あらゆる国の国家元首は、戦争を始める直前、または宣戦布告の時に、必ずといっていいほど、まずこう言う。

 戦争は、確かに常識的に考えて歓迎すべきものではない。よって、まずは、平和を愛していると見せかける方が得策というわけだ。

 例えば1914年、フランス政府は動員令発令に際し、「徴兵は戦争のためではなく、平和を維持するための最善策である」と宣言した。

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