2015年7月号掲載
ハーバード流 逆転のリーダーシップ
Original Title :COLLECTIVE GENIUS:The Art and Practice of Leading Innovation
- 著者
- 出版社
- 発行日2015年4月22日
- 定価2,200円
- ページ数382ページ
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著者紹介
概要
イノベーションを生み出し続ける組織と、そうでない組織。その差をもたらす、リーダーシップのあり方に迫る。「イノベーションを導くリーダーシップと、一般に考えられている優れたリーダーシップとは、実は同じではない」。長年の研究を基にこう語る著者たちが、ピクサーなど好業績を維持する組織を例に、イノベーションを起こし続けるリーダーの条件を示す。
要約
イノベーションの成否を分けるもの
イノベーションやリーダーシップについては、語り尽くされた感がある。本書は、そういうお決まりのテーマのどちらかを扱ったものではない。
取り上げるのは、リーダーシップとイノベーションだ。つまり、イノベーションに長けた組織を築くためのリーダーの役割について述べたい。
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ある組織からは繰り返しイノベーションが生まれ、ある組織からは生まれない。なぜか?
例えば、ピクサー・アニメーション・スタジオは20年近くも、次々と大ヒット作を放ち続けている。そんな映画制作会社は他に見当たらない。
同社は1995年、世界初のCG映画『トイ・ストーリー』を公開して以来、『ファインディング・ニモ』『カーズ』等々、ほぼ全作品が批評面、興行面、テクノロジー面で成功を収めている。それは、継続的に新しいものを生み出してきたからだ。
イノベーションというと、偶然の産物、ひらめきの賜、「クリエイティブな個人」たちのブレインストーミングから生まれるものだと考えがちだ。確かにそういうケースもあるが、まれだ。
もちろん、才能は重要だ。しかし、最終的にイノベーションの成否を左右するのは、どれだけ創造的な人材を見つけられるかではない。
ピクサーは創造的な人材を揃えており、そういう人材を見つけ、手放さないことにも力を入れている。だが、超一流の人材ばかりを集めているわけではない。イノベーションを繰り返し生み出すには、創造的な人材の確保以上のことが求められる。たとえ最高の人材を揃えても、その先には、才能豊かな人材を生産的に協同させられるかという、さらなる難題が待ち受けているからだ。
この難題こそが、イノベーションを導くリーダーの仕事になる。リーダーは各メンバーの天才の一片を引き出すとともに、それらを組み合わせ、1つのイノベーション ―― 新しい製品や戦略、新しい映画 ―― に仕上げる。これが、組織でイノベーションを生み出す時に行われていることだ。