2015年12月号掲載

引き算する勇気 会社を強くする逆転発想

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著者紹介

概要

「生産量を増やそう」「品揃えを拡大しよう」「機能を追加しよう」…。多くの企業が、こうした「足し算」の発想に陥りがちだ。だが、モノや情報が溢れる今日、重要なのは「引き算」。引き算で物事をシンプルにすると、本質的な価値が引き出され、人を引きつけられる、と指摘。“量の発想”では立ち行かない21世紀に必要な引き算の思考法、実践法を説く。

要約

引き算にひかれる消費者

 21世紀の企業にとって大切なのは「押す力」ではなく、「引く力」である。すなわち、「売り込む力」ではなく、「人を引きつける力」だ。

 かつて経済が成長を続けた時代は、大量の広告宣伝、販売力、営業力といった「押す力」を持つ企業が強者だったかもしれない。だが、成熟時代の今、人々に愛されるのは、消費者の買いたい気持ちを喚起する引く力(引力)を持った企業だ。

 強いブランドには「引力」がある。アップルも、スターバックスも、ディズニーも、自らが有する引力で顧客を引きつけている。

 では、いかに引力を高めるのか?

 最もシンプルで効果的なのは、「引き算」だろう。引き算によって、本質的な価値が引き出され、顧客を引きつけることができる。

 押す力から引く力へ。足し算から引き算へ。現代の企業には、このような視点の転換が求められている。

機能・情報・モノの過剰

 顧客を引きつけるためには、まずは顧客を知ることが必要だ。現代の商品の「機能」について、消費者はどのように感じているのだろうか。

 全国1000人の消費者に聞いてみた。その結果を見ると、85.1%が、機能が「多すぎる」「やや多すぎる」と回答している。機能が「少なすぎる」と回答した消費者は1人もいない。

 情報のみならず、「モノ」そのものも過剰だ。今日の消費者にとって問題となっているのは、選択肢が少ないことではなく、選択肢が多すぎることである。全国消費者1000人調査によると、「モノを減らしたい」「ややモノを減らしたい」が63.1%。現代は、モノの増やし方よりも、モノの減らし方に関心が集まる時代だ。

複雑化する社会

 情報の過剰、商品の過剰、機能の過剰。まさに現代は「過剰社会」である。加えて、IT化、グローバル化が急速に進展し、世の中はますます複雑化の度を高めている。

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