2016年5月号掲載
考える前に動く習慣
著者紹介
概要
「禅即行動」 ―― 。禅は、何より行動することを重視する。動くことで、悩みが消え、自信がつき、成果が上がるからだ。こうした禅の知恵を、禅僧の枡野俊明氏が解説した。「『いい』とか『悪い』とか、こだわりすぎない」「ふさぎ込んだ時こそ『忙しくする』」等々、行動力を鍛え、前向きに生きるためのヒントが詰まった1冊。
要約
さっさと始めよう、進めよう、続けよう
禅では、何より「行動」することを重んじる。「禅即行動」という言葉もあるくらいで、その修行の基本は、同じことを理屈抜きで繰り返すということに尽きる。
毎日毎日、寸分の違いもなく、坐禅を、読経を、作務を…身体を使って繰り返していく。そのことによって、つらいな、面倒だな、嫌だな…という気持ちが先立つ前に動く ―― そう、「考える前に動く」習慣が身についていくのである。
あれこれ考えたところで、行動しなければ何も答えは出ない。まず「動く」こと。それから「続ける」こと。この2つが、いい人生の土台となる習慣をつくる柱となる。
理屈抜きで、まず動く
禅には、「一念忘機」という言葉がある。これは、余計なはからいを捨てることの重要性を説いたものだが、習慣化もまさに同じである。
例えば、「片づける」ということにしても、子どもの頃から親にいわれるままに部屋の片づけをしてきた人は、それが習慣となって、いつもスッキリした空間で快適な生活を送ることができる。
それに対して、部屋は雑然としているのが当たり前だった人は、なかなか片づけに取り組めない。
「別に今のままでも、生活に支障があるということもないし…」と、まず考えが先行してしまう。すると動けない。そして、物がゴチャゴチャと置かれた部屋で、窮屈な暮らしが続くというわけだ。
スッキリ快適な暮らしと、ゴチャゴチャ窮屈な暮らし。前者の方が清々しい心で人生を送れる。そんな人の人生は実りが大きいだろう。
昨日の自分より、「半歩」でも先に進む
人は他人のことが気になるものである。どちらが大きな成果を出しているかを同僚と比較したり、持っているクルマのグレードをお隣と比較したり…。人は様々な場面で比較をしている。
その心理はきわめて単純。比較して自分が優位にいることを確かめ、安心したいだけなのである。
だが、「比較をしても自分は何も変わらない」。