2016年6月号掲載

TEAM OF TEAMS 複雑化する世界で戦うための新原則

Original Title :TEAM OF TEAMS

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著者紹介

概要

「世界で最も優秀」と称される、米軍の統合特殊作戦任務部隊。だがイラク戦争では、寄せ集めの集団であり、戦力も規模も格下のイラクのアルカイダ(AQI)に苦戦した。なぜ、AQIを倒せないのか? 原因を分析した米軍の元司令官が、あらゆる組織が現在直面する状況、従来型の組織に潜む問題点について語る。

要約

21世紀のルール

 1970年代から繰り返されてきたテロ集団との戦争は、2001年に起きた9.11を境に激化した。

 エリート軍事組織である統合特殊作戦任務部隊(特任部隊)はまずアフガニスタンに派遣され、戦いが拡大する中、その活動は広く中東に及んだ。

 2003年春、我々はイラクに入り、サダム・フセイン体制を倒すために、従来型の大規模な軍事作戦を展開した。そして、それからの数年間、我々は苦戦にあえいだ。

ベスト・オブ・ベスト

 イラクのアルカイダ(AQI)は、従来の軍隊とは別のタイプの、分散されていて敏捷な動きをする小武装集団で構成され、大きな脅威だった。

 我が特任部隊は、世界最強の軍隊が持ついくつかの特殊作戦部隊の中でも、最も優秀な人材をまとめ上げたものだ。つまり、我々こそが世界で最も優秀な特殊作戦戦闘部隊 ―― 「ベスト・オブ・ベスト」であることは間違いなかった。

 計算上は、AQIと特任部隊とでは比べものにならない。我が部隊は規模が大きく、装備も立派だった。一方のAQIは、地元の人間を採用しなければならず、お粗末な装備しかなかった。我々は厳しい訓練を耐え抜いてきたが、彼らはイスラム神学校で生半可な知識を身につけているだけだ。

 だが、我々は戦いに敗北しつつあった。なぜ我々は、資源に乏しい反乱集団に勝てないのか。

チームの中のチーム

 この戦争は、20世紀のどんな戦争とも違った。AQIという組織は、相互ネットワークに密に覆われた21世紀の情報化社会の申し子といえる。彼らの行動は、一般的に「正しく」「効果的」と考えられているやり方から大きく外れている。しかし、それがうまく機能している。

 具体的にいうと、透明性の高い情報共有と決定権の分散化という方針をもとに、軍を根底から構造改革したのである。そして、縦割り組織とヒエラルキーの障壁を取り壊した。我々は組織の中で最も小さい単位の行動を観察し、それを数千人の組織に広げる方法を探しだした。

 つまり、我々はいわゆる「チームの中のチーム」 ―― 小チームに特有の敏捷性を備えた大きな部隊 ―― になったのだ。

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