2016年8月号掲載

スイス人が教えてくれた「がらくた」ではなく「ヴィンテージ」になれる生き方

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著者紹介

概要

9年間のジュネーブ赴任生活を通じ、著者が学んだスイス人の生き方について語る。必要なものにだけお金をかける暮らし方、将来を見据えた公共投資、国民の政治への主体的な関わり方…。ともすると「今さえよければ」「自分さえよければ」と考えがちな日本人に、「人生における本当の豊かさ」というものを教えてくれる1冊だ。

要約

日本人よりずっと豊かなスイス人

 日本人にとって、スイスはあまり馴染みのない国かもしれない。しかし、実は日本人とスイス人はよく似ている。スイス人は真面目で忍耐強く、仕事は正確で緻密だ。街の中を歩いていても、道路がとてもきれいで、ゴミが落ちていない。

 ただ、日本人とスイス人には大きな違いもある。スイス人の方が日本人より、はるかに豊かな生活をしているのである。それはなぜなのか。

ホンモノだけがヴィンテージになる

 そのヒントは「時間」の活かし方にある。

 そのことに気づいたのは、1998年、スイスのジュネーブ市に赴任し、中古マンションを探していた時のこと。30年も経過したマンションが、新築より高価なのだ。そこで初めて「時間が経過すると価値が上がる」=「ヴィンテージ」になるという世界があることを、身をもって知った。

 しかし、時間が経つとすべての価値が上がるとは限らない。スイスには日本でも有名なスウェーデン家具のI社の本部もあるが、同社の家具は時間が経つと「がらくた」になってしまう。

 時間が経つと価値が上がるヴィンテージになり得るのは「ホンモノ」だけ。つまり、時間を活かして価値を上げるには、ホンモノである必要がある。

ホンモノになるために必要なのが「自立」

 そこで大事なのがホンモノを見極める目だが、その力を伸ばすためにも、まず自分自身がホンモノにならなければならない。そのために不可欠なのが「自立」だ。この自立こそが、豊かなスイス人をつくり上げた重要なキーワードである。

 日本人は何か問題があれば「政府が悪い!」と思うクセがある。自分たちで解決しようとする前に、まず行政に解決してもらおうとする。ある意味「今さえよければ」「自分さえよければ」といった日本人の生き方の積み重ねが、1000兆円を超える日本の国の借金になったともいえる。

 

スイス人の生き方に学ぶ

 自分の人生で大切なものをしっかり判断し、効果的にお金を使い、豊かに暮らす。そのためのユニークなアイデアが、スイスの暮らしの中にある。

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