2016年11月号掲載

シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃 Fintech, IoT, Cloud Computing, AI...アメリカで起きていること、これから日本で起きること

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著者紹介

概要

人工知能(AI)、IoT、フィンテック…。近年、シリコンバレー発のイノベーションが世界を席巻している。これらの根底に、共通して流れているもの。それは、ソフトウェアが人間の活動を取り込み、変形し、置き換え、自動化する「アルゴリズム革命」である。その最新の動向について、スタンフォード大学の研究者が解説した。

要約

アルゴリズム革命とAIのインパクト

 ここ15年ほど、シリコンバレーでは、グーグル、フェイスブック、ウーバーなど、数多くのスタートアップ(新興企業)が破壊的イノベーションを実現して、世界の姿を大きく変えてきた。

 シリコンバレーは、なぜこうしたイノベーションを次々と起こすことができるのか。

 根底にあるのは「アルゴリズム革命」だ。

 アルゴリズムとは、ある問題を解く時の定型化された手順のことで、コンピュータの場合は問題を計算する一連の手続き(プログラム)を指す。

 これまでの産業革命では、製造業の「機械化」が中心だった。人間だけではできないことを動力と機械の助けを借りることで実現してきたのだ。巨大なインフラも、大量生産の工場も、ハードウェア面での革新があったからこそ実現できた。

 しかし、今起きているのは、ソフトウェアによる「自動化」である。

アルゴリズムで人間の活動を置き換える

 一見、複雑に見える人間の活動も、一連の作業を細かく分解していくと、単純なタスクの組み合わせになることが多い。

 人間の活動を小さなタスクに分けて定型化し、コンピュータのプログラムで再現する ―― コンピュータの処理能力の飛躍的な向上もあり、人間の活動をマシンが実現できるようになってきた。

人工知能は人の仕事を奪うのか

 ここ数年、人工知能(AI)は急速に発達し、世の中に浸透しつつあるが、一方で、AIの発達に対して不安を覚える人が増えている。なかでも懸念されるのは、あらゆる仕事がAIに奪われてしまうのではないか、ということだ。

 さらにコンピュータが人間の頭脳を超える「シンギュラリティ」が起きるのではないかと危惧する人もいる。その時、コンピュータは自我を持つのか。SFで描かれるような、コンピュータと人間の争いが始まるのではないか。欧米の有識者の中には、本気で人類存亡の危機を心配する人もいる。

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